植物図鑑

サンリンソウ「北海道の花」

サンリンソウとは

名称:サンリンソウ(三輪草)
学名:Anemone stolonifera
分類:キンポウゲ科 イチリンソウ属

国内では北海道(渡島地方)、本州の中部地方以北に分布しています。

また国外では朝鮮や中国(東北地方)、台湾に分布しています。

北海道内では見られる場所があまり多くなく、大千軒岳(だいせんげんだけ)と長万部岳(おしゃまんべだけ)に分布しています。

名前の由来

1本の茎から3輪の花茎が伸びることが和名の由来となっていますが、実際には花を2輪つける事が多いです。

おそらくですが、先に見つかって名付けられた「イチリンソウ」や「ニリンソウ」の後付けで「サンリンソウ」の名前が与えられたのではないでしょうか。

ニリンソウは花を3個付ける個体が多いので、ちょっと名前と実態が合っていない感じがします。

サンリンソウの特徴

花期は5月中旬~6月初旬頃、やや湿った林内や沢沿いで見られます。

サンリンソウの花のアップです。

白いがく片は5枚、中心部にはたくさんの雄しべと雌しべがあります。

ざっくり計算で、雄しべ52個、雌しべ23個ほどでした。

別個体の花期終盤。

花の中心に見える子房はやや膨らみ始めています。

花だけ見ると、ニリンソウと区別がつきませんね。

サンリンソウ最大の特徴が、茎葉(けいよう)に柄がある事です。

サンリンソウも他のイチリンソウ属の花と同様に、根出葉と茎葉の2種類の葉があります。

※茎葉(けいよう)とは根元付近にむらがる葉(根出葉)と、それより上部につく葉(茎葉)とが異なった形態をもつ場合、後者の事を指す言葉です。

サンリンソウの茎葉のアップです。

サンリンソウ最大の特徴が、この3枚輪生する茎葉(けいよう)に葉柄がある事です。

またどの図鑑にもあまり記述がありませんが、小さな2枚の苞(ほう)が花茎の根元にありました。

ちょっとややこしいのですが、サンリンソウの茎葉(けいよう)も苞(ほう)なので、このサンリンソウには3枚輪生する大きな苞(ほう)と、2枚の小さな苞があるという事になります。

茎葉(けいよう)とは根出葉(こんしゅつよう)と区別するための呼び方です。

つまり、このサンリンソウの3枚輪生する葉は茎葉でもあり、苞でもあるという事です。

※輪生(りんせい)とは輪を描くように並んで生じることで、植物の葉などに良く使われる言葉です。

さらにアップして見てみます。

この写真のサンリンソウは花が2個の個体で、3枚輪生する茎葉の葉柄の中心部から生えている花茎が第1花、苞の根元についている花茎が第2花です。

この第1花、第2花と言うのは、ニリンソウやサンリンソウは花を複数個つけるのですが、それぞれ時間差をつけて開花していきます。

一斉に開花するのであれば、この小さな苞は不要だったはずです。

この写真は第1花は開花済み、第2花がまだ蕾という個体です。

先ほどまでの小さな苞は、第2花を包んでいたものでした。

先ほどより小さな苞が開いている別個体です。

気になったのですが、どの個体を見ても第1花の根元には小さな苞がありませんでした。

あまり解説している図鑑が無いので推測の域を出ませんが、3枚輪生する大きな苞(茎葉)が第1花も含め全体を包んでいたはずなので、小さな苞で包む必要が無かったということでしょうか?

そもそも苞(ほう)は、花を昆虫やカビの胞子などから護り、風雨などの激しい気候による傷害を防いだりする役割を担っていると考えられています。

ニリンソウやサンリンソウが複数個の花を付けて、それぞれ開花の時期をずらしているのは、リスクマネジメントの一環で、先に咲いた花が何らかの理由で受粉出来なかった場合、その次に咲かせた花で受粉出来るというバックアップ的な意味合いがあります。

つまり、小さな苞は時間差で咲く第2花を守るための役割を果たしているのだと推測出来ます。

仮にこの小さな苞が無かったら、花へのダメージが大きい強風や大雨で、先に咲いた第1花と第2花が同時にやられてしまう可能性があるのでしょう。

根出葉(こんしゅつよう)のアップです。

茎葉にはある葉柄が無いので、これだけ見るとニリンソウにそっくりです。

サンリンソウの集合果です。

果実は痩果(そうか)で、長楕円形~広卵形といった所でしょうか。

ピントの甘い写真だったので、いつか撮影する機会があれば写真を差し替えたいです。

北海道では分布が限られているので、自生地に行った際にはゆっくりと観察してみて下さい。

ニリンソウと似ているので、事前に特徴を覚えておきましょう。

イチリンソウ属の花

北海道には以下の9種のイチリンソウ属の花が分布しています。

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