ニリンソウとは
名称:ニリンソウ(二輪草)
学名:Anemone flaccida
分類:キンポウゲ科 イチリンソウ属
北海道から九州まで広く分布し、国外では東アジア(樺太、朝鮮、中国、ウスリー地方)で分布しています。
北海道ではわりと雑草のように道路脇でも見られる普通の花ですが、佐賀、和歌山、島根、高知などでは、レッドリストの指定を受けている地域もあります。
名前の由来
1本の茎から、2輪ずつ花茎が伸びることが名前の由来となっています。
後述しますが、実際の花の数は個体差があります。
ニリンソウの特徴
ニリンソウは変異が多い、多年草です。
花は1~4個つきますが、3個の個体が多い印象です。
北海道内には、近似種のサンリンソウが渡島半島に分布していますが、サンリンソウの方が花の個数が少ない印象(2個が多い)です。
花茎(かけい)には、伏毛(ふくもう)、または開出毛(かいしゅつもう)があります。
写真の個体は、まばらな開出毛が確認できますね。
2つめの花は少し遅れて咲き始めます。
茎葉(けいよう)は、3個輪生して、柄が無いのが特徴です。
近似種のサンリンソウは、葉柄があるので、この点が見分けのポイントになります。
ただし、北海道内のサンリンソウの分布は渡島半島に限られるので、その他の地域では見分ける必要がありません。
高さは15cm~30cmほどになります。
根出葉(こんしゅつよう)は、周辺に数個あります。
根出葉(こんしゅつよう)は3全裂して、側裂片は2深裂します。
ニリンソウは根茎で増えるので、群生しやすい特徴があります。
北海道では山道を走ると道路脇でもたくさん群生しているのを良く見かけます。
変異の多い花
ニリンソウの花は変異が多く、上の写真はミドリニリンソウという品種です。
写真の個体は、がく片が白く縁どられ、中は緑色になっています。
白いがく片が、薄く赤みを帯びる個体は、ウスベニニリンソウという品種です。
がく片全体が赤みを帯びる場合はほどんどなく、がく片の先が赤みを帯びている個体がほとんどです。
こちらはウスベニニリンソウのつぼみです。
ほんのり赤みを帯びたつぼみも、なんだか雰囲気が良いですね。
このように、ニリンソウは変異が多いので様々な様相が楽しめます。
ニリンソウを見かけた際はぜひ色々なタイプを探してみて下さい。
山菜として食べられるが、誤食の危険性も
ニリンソウは山菜としても食べられますが、若葉がトリカブトに非常に良く似ているので、春の芽生えの時期は誤食するリスクがあります。
またニリンソウはキンポウゲ科の毒、プロトアネモニンという皮膚や粘膜に対して刺激性を持つ毒が含まれているので、食べる際は加熱処理が必要です。
スプリングエフェメラルの1種
ニリンソウは春先に花をつけ、夏には地上部を枯らして、後は春まで地下で過ごすスプリングエフェメラル(春植物)と呼ばれる植物です。
スプリングエフェメラルとは、直訳すると「春のはかないもの」、「春の短い命」という意味で、「春の妖精」とも呼ばれています。
イチリンソウ属の花
北海道には以下の9種のイチリンソウ属の花が分布しています。
- キクザキイチゲ
- ウラホロイチゲ
- アズマイチゲ
- フタマタイチゲ
- ニリンソウ
- サンリンソウ
- ヒメイチゲ
- エゾイチゲ
- エゾノハクサンイチゲ
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