植物図鑑

エンレイソウ「北海道の花」

今回は春を代表するお花の「エンレイソウ」をご紹介いたします。

春は比較的見る機会の多い山野草だと思いますが、なかなか奥が深いのがこのエンレイソウ。

少しボリュームのある記事になりましたが、詳しくご紹介したいと思います。

エンレイソウとは

名称:エンレイソウ(延齢草)
学名:Trillium smallii
分類:シュロソウ科 エンレイソウ属

分布は北海道、本州、四国、九州に分布し国外ではサハリン(樺太)や南千島にも分布しています。

名前の由来

中国ではエンレイソウの根茎を「延齢草根(えんれいそうこん)」と言う薬草として使われており、エンレイソウ(延齢草)の名前がつけられました。

日本で見られるエンレイソウ属

日本では5種のエンレイソウとその種間雑種が知られています。

  • エンレイソウ:北海道から九州まで広い地域で見られる一番馴染みのある種
  • オオバナノエンレイソウ:分布は北海道、東北の青森、秋田、岩手。北国のエンレイソウ
  • ミヤマエンレイソウ:北海道から九州まで広い地域で見られる白い花弁が特徴の種
  • コジマエンレイソウ:分布は北海道。赤い花弁が可愛い魅力あふれるエンレイソウ
  • カワユエンレイソウ:北海道東部に分布し、1996年に登録された新種。シラオイエンレイソウとそっくりで、違いがさっぱりわからない種
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世界のエンレイソウ属

世界的に見ると、北米地域が特に多く40種から50種ほどが分布しています。

また北米地域内でも偏りが見られ、ほとんどの種が北米東部に分布し、北米西部ではわずか6種しか分布していません。

Trillium cernuum

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Trillium_cernuum

上記のエンレイソウはカナダ全土に分布するTrillium cernuum。

日本では見られない、花弁がくるっと外側へ丸まるタイプのエンレイソウです。

また、アジア地域で見ると、ヒマラヤから東アジアにかけて約11種が知られています。

エンレイソウの特徴

芽生えたばかりのエンレイソウです。

葉が開くと、葉から小豆色のつぼみが一つ出てきます。

開花したエンレイソウです。

花が横向きに付くのも特徴の一つです。

花のように見える小豆色のものは「がく片」で、稀に花弁が出現することもあるようですが、見た事がありません。

がく片は小豆色もしくは緑色の2パターンがあります。

変異が多い

エンレイソウは個体差が大きく、同じエンレイソウでも様々な違いがあります。

上の写真はがく片の色が緑色系ですが、やや白っぽく見えますね。

こちらはがく片の縁が小豆色、中が緑色になっています。

子房の色で分けられる3品種

エンレイソウは、子房の色で下記の3品種に分けられます。

  • アオミノエンレイソウ
  • クロミノエンレイソウ
  • アカミノエンレイソウ
アオミノエンレイソウ

こちらがアオミノエンレイソウです。

子房の色は緑色系で、比較的見る機会の多い一般的なタイプです。

クロミノエンレイソウ

子房の色が黒くなる、クロミノエンレイソウです。

こちらも比較的見る機会が多いです。

子房の色が赤くなる、アカミノエンレイソウです。

こちらのエンレイソウは、比較的標高の高い所で見られます。

エンレイソウの種子散布

エンレイソウの果実は液果(えきか)で、この中に多数の種子が入っています。

熟したエンレイソウの実は甘く、その甘さの正体はエライオソームと呼ばれるアリが好む物質です。

このエライオソーム目当てのアリが種子を巣まで運ぶことによって、種子散布される仕組みです。

これは本種だけに限らず、エンレイソウ属全体の特徴となっています。

熟した種子は上手くアリに運ばれない場合も少なくないようで、エンレイソウの周りにはたくさんの幼齢株を見かける事が多いです。

地面に落ちた種子が、散布を行なわない虫に食べられた場合などはそのまま落ちた場所で芽生える事になります。

スプリングエフェメラルの1種

オオバナノエンレイソウは、春先に花をつけ、夏には地上部を枯らして、後は春まで地下で過ごすスプリングエフェメラル(春植物)と呼ばれる植物です。

スプリングエフェメラルとは、直訳すると「春のはかないもの」、「春の短い命」という意味で、「春の妖精」とも呼ばれています。

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ゆっくりとした1面を持つ

エンレイソウは、春先に花をつけてあっという間に枯れてしまう「生き急いでいる」イメージがありますが、片方ではゆっくりとした一面も持っています。

本種も含め、エンレイソウ属の仲間は、開花までに10年から15年程かかると言われています。

その後、最低で10年は毎年花をつけるので、寿命は20~50年ほどと考えられています。

幼齢株は葉の幅が狭いのでなんだか別種のような雰囲気もあります。

成長するにつれて、どんどん葉の幅が広くなっていきます。

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その他のエンレイソウ属の花

のんびりと記事が追加出来たらこちらに記載していきます。

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