今回は北海道で見られるアネモネ「ウラホロイチゲ」をご紹介したいと思います。
日本国内では北海道の浦幌町と釧路市でしか見る事の出来ないお花です。
ウラホロイチゲとは
名称:ウラホロイチゲ(浦幌一華)
学名:Anemone amurensis
分類:キンポウゲ科 イチリンソウ属
高さが15~25cmの多年草で、国内での分布は北海道の浦幌町と釧路市のみに分布しています。
学名の「amurensis」はアムール地方の事で、分布の中心は極東ロシアや中国北東部となっています。
全体的にキクザキイチゲに比べて葉や花が小ぶりな印象を受ける花です。
名前の由来
国内での分布が見つかったのが、北海道十勝地方の浦幌町だったことが名前の由来です。
また「ヤチイチゲ」や「アムールイチゲ」などの別名もあります。
今回観察したポイントは谷地(湿地)ではありませんでしたが、近くに小川が流れる草地でした。
ウラホロイチゲの特徴(取材日:2021/4/27)
4月~5月頃、白く小さな花を咲かせます。
以前は「キクザキイチゲ」と認識されていた花ですが、より小型で可愛らしい印象の花です。
花の径は2.5㎝ほど、がく片が短く幅が広い事が特徴で、枚数も5~8枚と少ないです。
花柄(かへい)には軟毛が生えていました。
図鑑等に記載されている特徴ですが、ウラホロイチゲの茎葉の側小葉(そくしょうよう)にはごく短い柄があるのがポイントです。
似ているキクザキイチゲにはこの側小葉の柄が無いとの事ですが、正直よくわからないレベルです。
またキクザキイチゲ同様に、葉柄の根元は広がって翼のようになっています。
次は根出葉を見ていきましょう。
キクザキイチゲやアズマイチゲなどの仲間と同様に、ウラホロイチゲも地下茎が発達しており、そこから花を付ける茎葉(けいよう)と根出葉(こんしゅつよう)の2種類の葉を展開します。
根出葉の小葉には根元付近まで切れ込むような大きな欠刻(けっこく)が目立ちます。
茎葉も根出葉も共に、三出複葉です。
今回観察した「ウラホロイチゲ」自生地の様子です。
まだ樹木達が芽吹く前、陽の光が差し込む草地でたくさんの花を咲かせていました。
貴重な春の日差しをたっぷり浴びて、小さい花ながらもたくましい雰囲気で咲いています。
今回の自生地では、「ウラホロイチゲ」と「アズマイチゲ」が混ざって咲いていました。
写真手前が「ウラホロイチゲ」、右手2つが「アズマイチゲ」です。
またウラホロイチゲはキクザキイチゲとは混生する事が無いそうなので、その点は見分けが楽ですね。
スプリングエフェメラルの1種
ウラホロイチゲは、春先に花を咲かせ、あっという間に地上部を枯らしてしまう『スプリング・エフェメラル』の1種です。
別記事に詳しく解説しておりますので、ご興味のある方は御覧ください。
イチリンソウ属の花
北海道には以下の9種のイチリンソウ属の花が分布しています。
- キクザキイチゲ
- ウラホロイチゲ
- アズマイチゲ
- フタマタイチゲ
- ニリンソウ
- サンリンソウ
- ヒメイチゲ
- エゾイチゲ
- エゾノハクサンイチゲ
おすすめの山野草図鑑
著:梅沢 俊
北海道の植物図鑑では御馴染みの梅沢先生の図鑑です。
かなり大きめの図鑑ですが、網羅している植物数が多く、新分類体系APGⅢ,Ⅳに準拠しています。
古い植物図鑑をお持ちという方は分類が変わっているので、更新するならこの本がオススメです。
私の山のガイド活動にも欠かせないパートナーとなっています。
登山・ハイキング倶楽部では、登山ガイド・森林インストラクターの橋本竜平がご案内する、会員制のガイドツアーを実施しております。
顔が見える範囲の少人数制で、自然を楽しみながら歩くことを目的として立ち上げた倶楽部です。
もしよろしければ、一緒に山歩きを楽しんでみませんか?