植物図鑑

サマニユキワリ「北海道の花」

今回はアポイ岳を代表する「サマニユキワリ」をご紹介したいと思います。

春の時期、アポイ岳登山の主役と言ってもいいお花の一つです。

サマニユキワリとは

名称:サマニユキワリ(様似雪割)
学名:Primula modesta var.samanimontana
分類:サクラソウ科サクラソウ属

ユキワリコザクラの変種で、分布はアポイ岳周辺となっています。

アポイ岳登山の際、避難小屋のある五合目付近からちらほらと見かけ、馬の背から先ではいくつかの群落も見られ、春の主役と言ってもいいお花です。

本種はユキワリコザクラに比べて、葉柄が長く、粉状物が少ないといった特徴があります。

名前の由来

アポイ岳のある様似町に産するユキワリコザクラという事が名前の由来です。

アポイ岳の他、麓の海食崖でも見る事が出来ます。

サマニユキワリの特徴

高さは5㎝~10㎝程度、岩礫地に生育しています。

花の中心にある喉部は黄色で、たまに周辺が赤紫色になっている個体もあります。

ユキワリコザクラに比べ、粉状物が少ないことがサマニユキワリの特徴の一つです。

こちらの個体はサマニユキワリにしては粉状物が多めです。

また喉部は黄色1色になっています。

苞(ほう)は線形で小さく、あまり目立ちません。

花筒が黄色なので、上から見ると良く目立ちます。

花は散形花序で、片側に偏ってついている個体が多いです。

あまり多くは無いですが、花付きの良い個体は球形状になります。

つぼみの時期のサマニユキワリ。

葉の縁には不明瞭な鋸歯があり、下側へ巻き込みます。

またサマニユキワリの葉は、ユキワリコザクラに比べて葉柄(ようへい)が長いとされています。

広卵形の葉が根元に集まります。

長花柱花と短花柱花

サマニユキワリを含むサクラソウ属の花は、異形花柱花(いけいかちゅうか)として知られ、長花柱花(ちょうかちゅうか)短花柱花(たんかちゅうか)の2つの型があります。

  • 長花柱花(Pin型)は、雌しべが長く、雄しべが短い
  • 短花柱花(Thrum型)は、雌しべが短く、雄しべが長い
サマニユキワリの長花柱花(Pin型)

サマニユキワリの長花柱花です。

雌しべの柱頭が見えており、雄しべは奥に引っ込んでいるのが確認出来ます。

サマニユキワリの短花柱花(Thrum型)

次にサマニユキワリの短花柱花です。

花の中心部に雄しべの葯が見えています。

雌しべは花の奥に埋もれてしまい、見る事が出来ません。

北海道のサクラソウ属の花

北海道には以下の9種のサクラソウ属の花が分布しています。

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