今回は「ソラチコザクラ」をご紹介したいと思います。
渓流沿いの岩場に咲く姿はとても存在感があり、好きなお花の一つです。
ソラチコザクラとは
名称:ソラチコザクラ(空知小桜)
学名:Primula sorachiana
分類:サクラソウ科サクラソウ属
日高山脈と夕張山地などの岩場に分布する北海道固有種で、花期は4月~6月。
個人的にはいつも日高地方のピセナイ山へ登るときに目にするお花です。
いつも崖一面に咲く姿がとても素敵で、定期的に見に行きたいお花の一つです。
名前の由来
空知川で発見された小型のサクラソウというのが名前の由来となっています。
「ソラチ」とつきますが、実際は日高山脈周辺が分布の中心です。
ソラチコザクラの特徴
高さは5㎝~10㎝ほど。
花は淡紫色で、マットな質感が素敵なサクラソウです。
花の中心部は白色ですが、個体によってはこの白色が見えない場合もありました。
喉部の奥が黄色くなっていますが、花筒の中なのであまり目立ちません。
ソラチコザクラ最大の特徴が、花冠裂片の先の2裂する角度が大きい事です。
他の写真でも見て行きましょう。
確かに2裂する角度は大きい印象を受けます。
また上記写真の個体は、花の中心の白色があまり目立ちません。
ソラチコザクラは他の大半のサクラソウ類と違い、沢沿いの岩場や崖のような所に生えます。
真横までは行きませんが、崖から斜めに生えている個体も良く見かけます。
岸壁沿いに群生している姿はなかなか見ごたえがありました。
典型的な散形花序(さんけいかじょ)になるのがとても特徴的で、個人的には他のサクラソウ類と一番見分けやすいポイントだと思っています。
花付きの良い個体は見ごたえがありますね。
この花の色味とマットな質感が素敵です。
次に葉を見て行きましょう。
葉は円形~へら形で、先は尖らず、上部が鋸歯縁となっています。
他の個体の葉です。
鋸歯はわりと細かく、やはり先は尖っていません。
またまた別個体の葉。
鋸歯は細かいですが、やや丸くなっています。
長花柱花と短花柱花
ソラチコザクラを含むサクラソウ属の花は、異形花柱花(いけいかちゅうか)として知られ、長花柱花(ちょうかちゅうか)と短花柱花(たんかちゅうか)の2つの型があります。
- 長花柱花(Pin型)は、雌しべが長く、雄しべが短い
- 短花柱花(Thrum型)は、雌しべが短く、雄しべが長い
ソラチコザクラの長花柱花です。
雌しべの柱頭が出っ張っているのが確認出来ます。
長花柱花の雄しべは短く、奥の方にあるのが見えます。
ソラチコザクラの短花柱花です。
先ほど見えていた雌しべは、雄しべに隠れて見る事が出来ません。
短花柱花は雄しべが長くなっています。
北海道のサクラソウ属の花
北海道には以下の9種のサクラソウ属の花が分布しています。
- サクラソウ
- オオサクラソウ
- クリンソウ
- ヒダカイワザクラ
- テシオコザクラ
- エゾコザクラ
- ソラチコザクラ
- ユキワリコザクラ
- ユウバリコザクラ
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