今回は六花亭の包装紙でもお馴染みの「オオバナノエンレイソウ」をご紹介いたします。
森の中で大きな白い花をつける、北海道の春を代表する花の一つです。
もくじ
オオバナノエンレイソウとは
名称:オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)
学名:Trillium camschatcense
分類:シュロソウ科 エンレイソウ属
分布は北海道、本州北部で、低山から亜高山の湿地、平地の草原、明るい森林内に生育します。
名前の由来
中国では漢名で延齢草根(えんれいそうこん)と言う薬草として使われており、エンレイソウ(延齢草)の名前がつけられました。
オオバナ(大花)は、白く大きな花をつける事からです。
また大きな花がドレスのようで気品が感じられる花であることから「森の貴婦人」といわれています。
オオバナノエンレイソウの特徴
名前の通り、他のエンレイソウ属の仲間と比べて、大きな白い花を付けるのが特徴です。
白い花弁が3枚、がく片も3枚、葉っぱも3枚、雄しべは6個(3の倍数)と、とても「3」にこだわりを持っている花です。
エンレイソウ属の学名の、「Trillium」 は「3のユリ」を意味し、花、がく、葉が3枚になる事が由来となっています。
子房の先が紫褐色になるのも大きな特徴のひとつです。
雌しべの柱頭は3つに裂け、子房は3室です。
雄しべの葯(やく)は細長いのが特徴で、花糸(かし)の3倍もの長さがあります。
上の写真でもわかる通り、葯(やく)が大きくて、根元の花糸(かし)はのぞき込んでもほとんど見えません。
また、子房全体が濃い紫褐色のものは、変種チシマエンレイソウと言います。
大きな白い花は、空を見上げるように上向き~やや上向きについています。
開花の時期は、同属のエンレイソウよりやや遅い印象です。
群生することが多い
オオバナノエンレイソウは、群生して咲くことが多いのも特徴の一つです。
北海道では各地に群生地が見られ、その大きな白い花が形成するお花畑はとても見ごたえがあります。
変異が多い
エンレイソウの仲間は変異が多いのが特徴で、オオバナノエンレイソウもたまに変わった花が見られます。
上の写真は、花びらとがく片が細長いタイプで、なんだか別の種類のような雰囲気でした。
こちらは花弁が4枚になったオオバナノエンレイソウ。
なんだかバランスが悪い印象です。
スプリングエフェメラルの1種
オオバナノエンレイソウは、春先に花をつけ、夏には地上部を枯らして、後は春まで地下で過ごすスプリングエフェメラル(春植物)と呼ばれる植物です。
スプリングエフェメラルとは、直訳すると「春のはかないもの」、「春の短い命」という意味で、「春の妖精」とも呼ばれています。
ゆっくりとした1面を持つ
オオバナノエンレイソウは、春先に花をつけてあっという間に枯れてしまう「生き急いでいる」イメージがありますが、片方ではゆっくりとした一面も持っています。
本種も含め、エンレイソウ属の仲間は、開花までに10年から15年程かかると言われています。
その後、最低で10年は毎年花をつけるので、寿命は20~50年ほどと考えられています。
ミヤマエンレイソウとの違い
同じく白い花をつける近似種「ミヤマエンレイソウ」との違いは以下の通りです。
- ミヤマエンレイソウは花が横向きor斜め下向きにつく
- オオバナノエンレイソウは子房の先が紫褐色になる
- オオバナノエンレイソウは葯(やく)が花糸(かし)の3倍の長さになる
またオオバナノエンレイソウは全体的に大型で、ミヤマエンレイソウは比べるとやや小型なので、見た目の印象もちょっと違います。
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その他のエンレイソウ属の花
のんびりと記事が追加出来たらこちらに記載していきます。
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