登山・ハイキング

【母衣月山】月越山脈の最高峰へ

今回は、北海道寿都町にある「母衣月山」をご紹介したいと思います。

実は同じ寿都町内の通称寿都富士を登る予定だったのですが、予定していた弁慶岬の取り付きにまったく雪が無く、急遽こちらを登ることにしました。

お手軽なスノーシューハイクで、山頂からは展望も楽しめるとても良い山でした。

母衣月山基本データ

母衣月山(ほろづきやま)は寿都町と島牧村の境界に位置する、月越山脈(つきこしさんみゃく)の最高峰になります。

最高峰といっても標高は503m、札幌の藻岩山(531m)より低いです。

寿都町、風泙大神から見た月越山脈

月越山脈自体が低い山の連なり(標高約400m~500m)で、母衣月山も台地状の最高点といった山容です。

冬の日本海側は曇天の空がしっくりきますね。

【月越山脈縦走】母衣月山から寿都富士まで北海道寿都町にある母衣月山から寿都富士まで歩いてきましたので、今回ご紹介したいと思います。 月越山脈は低山がら寿都湾の海を見ながら...

名前の由来

母衣月山の語源はアイヌ語で、ポロ(大きい)、トゥキ(盃)が由来となっているようです。

山自体は大きくないので、「ポロ(大きい)」が不自然だと思っていたのですが、大きかったのは寿都湾のようです。

幅約9km、奥行き約6kmの大きな寿都湾を盃(さかずき)に見立てたのでしょう。

地形図上での読み方は「ほろづきやま」になってますが、「ほろつきやま」と濁らない方がよりアイヌ語の語源に近くてしっくりくる感じがします。

漢字は当て字ですが、母衣は「武士の矢や石などから防御するための甲冑の補助武具」です。


出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%8D%E8%A1%A3

月は月越山脈から来ていると思われます。

月越山脈の母衣月山、大した山じゃないのですが、音の響きと字面が良いですよね。

ここの地名を考えた方はなかなかのセンスだと思います。

アクセス

道道523(美川黒松内線)の月越タケノコ園の入口に、あまり広くないですが除雪されている箇所がありました。

トンネル付近にも駐車出来そうな場所がありましたが、降雪時は除雪車の邪魔にならないよう配慮しましょう。

登山口の標高が390m、山頂が503mなので標高差113mしかありません。

登山というよりはハイキングに近いコースですね。

山頂まで片道約2.8㎞で、1時間程かかりました。

登山道の様子(2020/2/15)

月越タケノコ園前の除雪場所です。

駐車場所からしばらくは林道歩きです。

林道入口に「防風保安林」の看板がありました。

これも風の町ならではですね。

防風保安林は、物理的な障壁となって風速を緩和し、風害を防止する効果があります。

入口から一面のダケカンバ林が広がっていました。

ダケカンバは白樺の仲間で、標高の高い所に生えるので岳樺(ダケカンバ)なのですが、ここは標高390mでほぼダケカンバの純林となっていました。

防風保安林の看板と、一面のダケカンバ林が、この場所の風の強さを表しています。

ダケカンバもこれだけ密生して生える事で、強風から耐えているのでしょうか。

道中の見た感じでも、ダケカンバが9割、他の樹木(キハダ、シラカバ、ミズナラなど)が1割程度といったところでした。

以前にダケカンバは標高何mから生えるのか聞かれたことがあったのですが、標高では無く、生える場所は気象条件で変わるといったことが分かると思います。

寿都のだし風

寿都町はこの地域特有の強風、「だし風」が吹きます。

寿都町の資料に分かりやすく解説しているものがあったので、以下に引用します。


出典:https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/rekishibunka/pdf/r1392234_01.pdf

一度この寿都の「だし風」の強風を体験してみたかったのですが、吹く時期は春~秋。

残念ながら月越山脈一帯は登山道のある山がないので、山の上から「だし風」を浴びるのは叶わなそうです。

風の影響で、ウネウネしたダケカンバがたくさん見られました。

樹種が少ないので森歩きとしての楽しみは少ないですが、たくさんのダケカンバが見られます。

いるか分かりませんが、「ダケカンバ」ファンには教えてあげたい、イチオシの山ですね。

エゾユキウサギの足跡

道中ではエゾユキウサギの足跡がたくさん見られました。

月越山脈とウサギといったこの取り合わせに、なんだかロマンを感じます。

山頂手前のピークは右側を巻くように林道がついてます。

山頂付近


山頂にオンコの木がある!と思ったら、ここじゃなくて、ちょっと離れたとこがピークでした。

強風に耐えながら良く生き延びてきたものです。

母衣月山の山頂付近からは、寿都浜の風車群とその語源ともなった大きな寿都湾を眼下に望むことが出来ます。

お手軽なハイキングでこの眺めが見られるのは素敵です。

道中で見られた山

林道歩きの際に振り替えると、黒松内岳(標高740m)が見られました。

台形の形をした一番左側が山頂です。

こちらは大平山(おびらやま 標高1191m)。隣の狩場山は雲に隠れて、残念ながら見る事が出来ませんでした。

周辺のオススメ施設

寿都温泉ゆべつのゆ

日帰り入浴500円で良いお湯でした。

入口近くには寿都の特産品などがある売店コーナーもあるので、お土産も買えます。

ホームページ:「寿都温泉 ゆべつのゆ」

ゲストハウス 風泙(かざなぎ)

今回は日帰りだったので利用しませんでしたが、今度泊まってみたいと思いました。

町営のゲストハウスで、部屋数は少ないですが料金も安く、登山者にピッタリです。

ホームページ:「ゲストハウス 風泙(かざなぎ)」

まとめ

  • お手軽な標高差、距離でスノーシュー初心者にお薦め
  • 特に滑れる斜面がないので、山スキーだとイマイチ(帰りは楽かもしれません)
  • ダケカンバファン必見のダケカンバ林
  • 林道歩きが長いので、道中はわりと退屈

最後まで御覧いただきまして、ありがとうございました。

【月越山脈縦走】母衣月山から寿都富士まで北海道寿都町にある母衣月山から寿都富士まで歩いてきましたので、今回ご紹介したいと思います。 月越山脈は低山がら寿都湾の海を見ながら...
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