バックカントリー

【伊阿根山】和寒の里山バックカントリー

今回は、和寒町と鷹栖町の境界にある伊阿根山(いあねやま)をご紹介いたします。

お手軽に登れるので、初心者の方でも楽しめる山です。

伊阿根山基本データ

伊阿根山(いあねやま)は、和寒町と鷹栖町の境界に位置する、標高は576mの山です。

和寒町福原の町営牧場の裏手にある里山で、北斜面はゆるいボウル地形となっており、山頂まで樹林帯です。

山名の由来

エアネヌプリ(エ=頭、アネ=細い、ヌプリ=山)の宛字との事ですが、この山はなだらかな山容でしっくりきません。

どうやら、昔の地図ではエアネヌプリは他の山についていた名称だったようで、いつの間にか入れ替わってしまったようです。

覚礼原野とは

入山口のある福原地区は、昔は覚礼(かくれい)原野と呼ばれていたようです。

塩狩ヒュッテさんのホームページに詳しく書いてありました。

現福原は覚礼(かくれい)原野と呼ばれた。ペオッペ原野15線を通り、幌加内へ急いだ旅人達も、左の方は樹木が生い茂り原野の存在がわからなかったのに由来するらしい。1934年当時、和寒で1番農業生産の低い覚礼地域を将来、一番豊かな地域にと、福原と改名した。
出典:塩狩ヒュッテ

地形図を見ると、福原地区はとても面白い地形で、周囲360度全て山に囲まれています。

小さいカルデラと外輪山かと思いましたが、この地形は隕石の落ちたクレーターではないかとの説があります。

この地域では戦前に、砂白金やクロムの採掘が行われていたようで、それが説の由来となっているようです。

真偽は定かではありませんが、そのような事を考えながら歩くとロマンがありますよね。

日本有数の極寒地

福原地区は北海道の中でも有数の極寒地として知られ、1978年(昭和53年)2月17日には、「-41.2℃」を記録した他、2008年1月19日に「-39.4℃」を記録しています。

アクセス

福原神社の向かいに除雪されている箇所があり、車数台が停められるスペースがありました。

道道251(雨竜旭川線)の維文峠(いぶんとうげ)は冬季通行止めとなっているので、和寒町側か幌加内側からアクセスしましょう。

この駐車場所から少し南下して、町営牧場の南に走っている道路から入山します。

GPSログ

町営牧場の脇を通り、伊阿根山の北側のゆるい沢地形を上り詰めて山頂です。

登山口標高200m、伊阿根山山頂676m 標高差476m、片道約3㎞で登り1時間35分でした。

山中の様子(取材日:2020/02/26)

スタートは福原神社の向かいにある駐車スペースです。

神社自体は除雪されていませんでした。

この先の維文峠は冬季通行止めになっているので、ここは除雪車の転回場所としても使われているかもしれません。

駐車する際は邪魔にならないように配慮しましょう。降雪中は停めない方が無難ですね。

駐車位置から維文峠側に少し下り、左手に見えてくる除雪されてない道から入山します。

牧場の敷地横を通る

道路のすぐ横には和寒町の町営牧場があり、牛舎特有の 悪臭 良い匂いが漂ってきます。

少しの間だけ牧場の方が除雪された道を進みます。

牧場の方が落としたと思われるエサの牧草?たい肥?これはなんでしょうか。

なんとなくシールについたら嫌なので、避けて進みました。

牧場の脇を通る道をしばらく進みます。

広々とした牧場と白樺並木、とても北海道らしい風景が広がっています。

ニセアカシア

トゲのある木は覚えやすくて、初心者にもオススメです。

中でもこの「ニセアカシア」はこのトゲが特徴なのと、葉痕(ようこん)が悪魔の顔みたいと良く言われています。

ニセアカシアはマメ科の樹木で、この木は実が残っていました。

中を割ってみると、御覧の通り種は小さめです。

こんなに小さな種なんですが、繁殖力旺盛で増えすぎて、近年はちょっと厄介者扱いされている外来種です。

2017年には釧路湿原でニセアカシアが植樹されて、プチ炎上していたニュースなんかもありました。

「ニセアカシア」も開けた明るい場所が好きな樹種ですが、こちらの「オニグルミ」も同じように、日当たりの良い場所を好む樹種です。

オニグルミの冬芽は、よく「羊の顔」みたいと言われています。

牧場を離れ、沢筋を進む

牧場の敷地の道が終わり、伊阿根山の北側に広がっている緩い沢地形を真っすぐ登っていきます。

名もなき沢の右岸を進んでいくのですが、所々に枝沢があるので注意して進みましょう。

微妙に地形にアップダウンがあり、沢が露出している場所もありました。

見るからに左岸側の方が凹凸が少ないのですが、意外と沢が深くなかなか対岸へ渡れません。

標高400m前後から沢が埋まってきてスノーブリッジがいくつかあったので、左岸に渡りました。

ここの辺りから斜度が出てきて、ようやく登り始めといった感じです。

カツラの巨木

沢沿いのルートなので、カツラの巨木がいくつか見られました。

「カツラ」は、沢筋や湿った斜面に多く見られる木で、大木になるので見ごたえがあります。

沢の源頭には、結構な大きさのカツラがありました。

奥の主幹が折れていますが、この木はなかなかの樹齢だと思います。

山頂まで最後の登り

沢の源頭からは、ひたすら斜面を登ります。

滑るラインを汚さないように細心の注意をしながらジグをきっていきます。

白い雪面がキラキラと光って、何とも言えない光景です。

これも寒さの厳しい和寒町ならではですね。

雪面がキラキラしている原因は、この「表面霜」。

放射冷却で気温が下がった際に、空気中の水蒸気が積雪表面に凝結して成長して出来上がります。

この日の和寒町の最低気温は「-19.0」。この寒さで表面霜が育ちました。

山頂稜線からはまさかのあの山が・・・


振り返ると、すっきりとした展望が広がっていました。

山頂稜線も樹木がありますが、疎林帯なので場所を変えれば色々な山を見る事が出来ます。

少し拡大して、アップで見てみましょう。

これは私も予想外だったのですが、隙間から「利尻山」が見えました。

まさか和寒町の里山から拝めるとは思ってもみなかったので、とても感動しました。

天塩山地1位の高さを誇る、「ピッシリ山」と、2位の「三頭山」も見え、道北の標高の高い山トップ3を見る事が出来ました。

山頂にはヤチダモの木がありました。

ここは残念ながら山頂標柱はありません。

それにしても、沢筋に多いので谷地櫤(ヤチダモ)なのですが、この尾根筋にはたくさんヤチダモの木がありました。

山頂から鉄甲山方面の展望。

あの山の下には「本田技研総合試験所」があります。

以下、ライナーさん引用です。

鷹栖PGは、東京ドーム167個分に相当する788万平方メートルという広大な敷地に、総延長61.6キロメートルにも及ぶ50種類のテストコースを擁する国内最大の実験場です。施設のある北海道旭川市に隣接する上川郡鷹栖町は、夏冬ともに寒暖差の激しい過酷な自然環境が特徴で、年間2万人に近い開発スタッフが開発段階の自動車やバイクなど持ち込み、操作性や耐久性、安全性などの確認はもちろん、製品としての性能や魅力を高めるため日々走行テストや耐久テストを重ねています。
出典:LINER WEB

こちらの写真は山頂から北側の展望です。

木々の隙間から、天塩岳も見る事が出来ました。

山座同定、名前入りです。

天塩岳の辺りは意外と地形が複雑ですが、地形図とグーグルアースで確認しましたので間違いないと思います。

山頂からは広大な上川盆地の眺めが素敵でした。

白く見えているのは、鷹栖町の水田ですね。

近年は「田んぼアート」が毎年話題になっています。

山頂からやや西側に移動して、気持ちの良さそうな所を滑って帰ります。

概ね視界良好だったのですが、表大雪だけ雲に隠れて見えなかったのが残念でした。

おまけ

帰りの滑走中、カラスが横切ったと思ったら「クマゲラ」でした。

カメラを取り出した時には少し離れてしまいましたが、普段はありえないような至近距離で見る事が出来たラッキーな出来事です。

たぶんお互いにビックリだったと思います。

まとめ

  • 北向きの疎林帯で、雪質良好
  • しっかりとツリーラン出来る方におすすめ
  • 最後まで樹林帯なので、風の強い日でもOK
  • 遠望が利くと、利尻富士が見える!

最後まで御覧いただきまして、ありがとうございました。

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