いつも通る札幌市内の北3条通り、そこにはお気に入りの「ネグンドカエデ」の並木道があります。
まだ私が森林インストラクターになる前、学生時代のアルバイト先の居酒屋に向かう際に良く通る道でした。
今は引っ越して通らなくなりましたが、この思い入れのある「ネグンドカエデ」について、ご紹介したいと思います。
ネグンドカエデとは
名称:ネグンドカエデ(別名:トネリコバノカエデ)
学名:Acer negundo
分類:カエデ科 カエデ属
北海道では、公園樹や街路樹、生垣などで使われている樹種です。
北米原産の樹木ですが、南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ヨーロッパの、アジアの一部など、世界中の幅広い地域で移入された樹木です。
名前の由来
ネグンドカエデの和名は、学名の「エイサー(acer)・ネグンド(negundo)」が由来となっています。
エイサーはラテン語で「カエデ」の事で、「裂ける」という語源が由来で、カエデ属の裂けた葉を表しています。
ネグンドはサンスクリット由来で「3ないし5の数」という意味です。おそらく、3~5枚の小葉からなる本種の特徴を表しているのでしょう。
また別名のトネリコバノカエデは、「トネリコの葉に似ている楓」という意味で、野球のバットや建築資材に使われたトネリコの葉に似ている事が名前の由来となっています。
北海道民の私にとって、トネリコはあまり馴染みの無い樹木(東北地方から中部地方に自生)でこの別名はピンと来ません。
道民には、アオダモ(コバノトネリコ)の葉に似ているといった方が分かりやすいかもしれません。
各地での呼び名
世界中の幅広い地域で移入された樹木なので、様々な呼び方があります。
- 「box elder」「boxelder maple」⇒ボックス(box)はツゲの木、エルダー(elder)はニワトコ。白い木がツゲ、複葉の葉がニワトコに似ている事が由来
- 「ash-leaf maple」「ash maple」⇒灰色の葉を持つカエデの意(班が入るタイプがある)
- 「Manitoba maple」⇒マニトバ州のカエデ
- 「elf maple」⇒エルフのカエデ
- 「box elder」、「ash-leaf maple」
- 「American maple」⇒アメリカの楓の意
- 「ash-leaf maple」
ネグンドカエデの特徴
開葉したてのネグンドカエデの若葉です。
まだ寒さの残る5月初めに札幌市の公園で撮影したものです。
葉の開葉とほぼ同時期、早い時期から花が咲きます。
もじゃもじゃした髭のような雄花が垂れ下がっています。
ネグンドカエデは、カエデ類では少数派の雌雄異株(しゆういしゅ)で、雄の木と雌の木があります。
これは雄の木の花になります。
葉は3~5枚の複葉で、若枝が緑色なのが特徴です。
果実はカエデ属らしい翼果(よくか)です。
たくさんの翼果が鈴なりについています。
まだ未成熟の状態の翼果です。
果実が熟すのは、札幌ではだいたい9月頃になります。
北海道内では、札幌市、旭川市、北見市、滝川市 などで街路樹が見られるようです。
こちらは札幌市内の北3条通りのネグンドカエデ並木です。
ここのネグンドカエデは綺麗に選定されて、丸い樹形が美しい並木道になっています。
以前に円山に住んでいた時には良く通っていたお気に入りの道でした。
この北3条通りの近くにはオススメの「ベニバナトチノキ」の並木道もあります。
街路樹としての特徴
街路樹としての特徴を以下にまとめてみました。
- 成長が早く、陽光を好む
- 耐寒性があり、寒冷地の北海道に適している
- 根は浅根性で倒れやすい
- 大気汚染(車の排気ガス)にも耐性がある
- 剪定も耐えられる
- 根張りが悪く、傾斜木になりやすい
根が浅いので倒れやすく、成長が早いので剪定の頻度が多くなるため、維持管理が高コストになるようで、現在はあまり植えられなくなってきたとの事。
札幌市の街路樹は、ニセアカシアなどの浅根種から、オオバボダイジュなどの成長の遅く、根が深く張る郷土種への転換を図っていくようです。
街路樹の美しさや景観、多様性を考えると、コスパを重視してしまうと味気ない景観になってしまいそうな気がしますが・・・。
ネグンドカエデの生態
幹の直径は30~50cmで、高さは10~25cmほどになります。
平均寿命は60年ほどと短く、陽光を好み、成長の早い、典型的な陽樹の特徴です。
自生地では、氾濫原とな河原や荒れ地などに生育しています。
またネグンドカエデの樹液は「メープルシロップ」として食用にもされ、古くはアメリカの先住民の時代から作られていました。
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