お花の良い時期に、大雪山のフラワーロードと称して黒岳から緑岳まで縦走してきました。
高山植物の開花時期としてはバッチリで、たくさんのお花が見られたツアーになりました。
黒岳とは
大雪山の中ではロープウェイとリフトがあることもあり、比較的初心者向けの山です。
リフト終点の七合目から山頂までは約1時間~1時間半程度で、登りやすいです。
初心者向けの反面、残雪が残る時期は急斜面という事もあって少し大変な印象です(※上の写真は6月中旬頃の黒岳)。
慣れていない方は登山道の残雪が消える7月中旬以降がオススメです。
白雲岳とは
縦走路から外れた位置にある為、意外と登る方が多くない印象の山です。
ですが、今回訪れた際にはたくさんの登山者が登っていました。
白雲岳避難小屋が新しくなった事と、山頂から見られる通称「ゼブラ雪渓」がブームになっているのかもしれません。
緑岳とは
大雪高原温泉が登山口の山で、稜線上の一角といった山容です。
今回訪れた7月3日は、緑岳の頂上稜線がお花の見頃を迎えていましたが、中腹にある第一お花畑、第二お花畑はまだまだ深い雪の下になります。
地図&ルート紹介
【1日目】
初日は黒岳ロープウェイとリフトを利用して七合目からのスタート。
今回はテント泊装備でのんびりと登りました。
<参考タイム>
黒岳七合目11:05 ⇒ 黒岳山頂12:55~13:20 ⇒黒岳石室14:20
約2.5㎞、歩行約3時間
【2日目】
翌日は黒岳石室を出て、北海岳から白雲岳、小泉岳、緑岳と4座を踏む縦走です。
<参考タイム>
黒岳石室5:00⇒ 北海岳6:50~7:00 ⇒白雲分岐8:15~20 ⇒白雲岳8:50~9:00 ⇒白雲分岐9:25~35 ⇒小泉岳9:50 ⇒緑岳11:05~15 ⇒高原温泉13:50
約14㎞、歩行8時間50分
登山道の様子(2021年7月3日~4日)
今年の大雪山は残雪が多めです。
黒岳も例年より多く、何カ所か大きな雪渓がありました。
気温の低い朝晩や、下りで使う方は要注意です。
黒岳の上部では「ジンヨウキスミレ」が見られます。
大雪山と札幌の一部の山でしか見られない貴重なスミレです。
クロユリもいつもの場所で咲いていてくれました。
ウコンウツギは花期にピッタリで、あちこちで群生する姿が楽しめます。
カラマツソウの花と紫色のつぼみ。
黒岳の登山道は様々な種類の花が咲くので、楽しい登りが続きます。
九合目のまねき岩が近くで見られると山頂まであともう少し!の合図です。
黒岳山頂から黒岳石室へも花の種類が変わるので楽しく歩けます。
今日は一日雲が多めな感じでした。
食事も終わり、テント泊や石室泊の登山者が静まってくる頃、エゾユキウサギが見られました。
今年の石室は「うさポンイヤー」だよ、とほろ酔いの石室管理人から教えてもらい、周辺のお散歩に出かけてすぐ見られました。
素敵なひと場面を、息をひそめて覗き見させてもらいました。
良い感じの動画も取れました。
望遠レンズ持ってくればよかったと少し後悔。
2日目は気持ちの良い青空!
まずは北海岳へ向けて登っていきます。
ハイマツの下に、「カヤクグリ」がいました。
「ピピピッ」と鳴き声が特徴的な鳥です。
まだまだ雪渓が残る箇所が多く、雪が解けた場所からキバナシャクナゲが咲いています。
登りの休憩ポイントから。
右奥の北海岳山頂までもう少し登りが続きます。
個人的に大好きな「クモマユキノシタ」が咲いていました。
別名はヒメヤマハナソウ。
岩場に咲くヤマハナソウも可愛い花ですが、こっちの方が色味が好みです。
チシマクモマグサも咲いています。
ミクラ沢溶岩流の岩壁が間近に迫ってきました。
北海岳山頂から北東方向に流れた溶岩の跡で、全長6㎞程あるうちの一部が見えています。
黒岳をバックに登っていきます。
北海岳の山頂近くにあるこの岩は「クジャク岩」。
この角度で見るとクジャクに見えますが、少し角度が変わると全然クジャクに見えない岩です。
北海岳山頂から見た北鎮岳(右)、比布岳(真ん中)、安足間岳(左)です。
平坦な北海平を通り、正面に聳える白雲岳を目指していきます。
ミネズオウのピンク色の絨毯が良く目立ち、その向こうに綺麗な烏帽子岳が見えています。
咲き始めのキバナシオガマがありました。
小さくてとても可愛らしい姿です。
エゾオヤマノエンドウ(紫)、イワウメ(白)、その向こうに尖った烏帽子岳。
白雲分岐に荷物をデポして、白雲岳山頂を目指します。
山頂直下は雪渓が残っています。
白雲岳山頂からのゼブラ雪渓は残念ながら雲の中で見られずでした。
小泉岳を目指して歩きます。
ガスガスでも風の無いのがとてもありがたく、快適な道のりです。
ホソバウルップソウ。大きな株で綺麗に咲いていました。
チョウノスケソウは今がピークといった感じでした。
葉が小判型で可愛いお花です。
1週間前に訪れた時には見られなかったレブンサイコ。
エゾタカネスミレに守られているように咲いていたホソバウルップソウ。
キバナシオガマ、エゾオヤマノエンドウ、イワウメ。
この時期の稜線はまさに百花繚乱で、様々な色の花が咲く華やかな時期です。
あまり注目されてないミヤマタネツケバナ。
いくつの花が見つけられるでしょうか?
チョウノスケソウ、イワウメ、ホソバウルップソウ、チシマアマナ、チシマキンレイカ、エゾノハクサンイチゲ、エゾハハコヨモギなどなど・・・
エゾタカネスミレの群生地がありました。
このように他の植物が好まなそうな砂礫地に咲いています。
イワウメも絨毯のように広がっていて、なかなか見ごたえがあります。
緑岳までは楽しいお花見の稜線歩きです。
あまり多くないですが、ホソバイワベンケイも見られました。
緑岳からの下りは岩場が続くので慎重に降りていきます。
第一お花畑、第二お花畑はまだまだ厚い雪の下。
緑岳下部の樹林帯では、ミヤマハンショウヅルが見られました。
登山口に咲く、「ダイセツヒナオトギリ」。
この花が見られるとゴールまでまもなくです。
まとめ
- 6月下旬~7月上旬は小泉岳~緑岳のお花が見ごろ!
- 今回の下山口の高原温泉は公共の交通機関が無いので、縦走で降りる方は要注意。
最後まで御覧いただきまして、ありがとうございました。
このツアーの1週間前に、一部同じ場所を歩くツアーを実施しました↓
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