植物図鑑

ヒダカイワザクラ「北海道の花」

今回はサクラソウの1種「ヒダカイワザクラ」をご紹介したいと思います。

岩場に咲く花で、北海道固有種のサクラソウになります。

ヒダカイワザクラとは

名称:ヒダカイワザクラ(日高岩桜)
学名:Primula hidakana var. hidakana
分類:サクラソウ科サクラソウ属

北海道固有種で、分布はほぼ日高山脈周辺の岩場に限られます。

登山をする方は、アポイ岳の上部で目にする機会が多いお花です

名前の由来

岩場に生えるサクラソウで、日高地方に特産する事が名前の由来です。

日高の岩場に咲くサクラソウ、とても覚えやすい名前ですね。

ヒダカイワザクラの特徴

地中に横に伸びる根茎があり、そこからまとまって花や葉が生えます。

高さは5㎝~15㎝ほど。

花の中心部の喉部は黄色で、その外周は白色となっています。

花冠裂片(かかんれつへん)は5裂して、さらに2裂します。

喉部の色は固体差があり、上記の写真は黄色1色で白色の部分は確認できません。

次は花を側面から見てみましょう。

ヒダカイワザクラは合弁花で、下部が筒状になり、途中で平開して5裂します。

5裂した裂片はさらに2浅裂します。

あまり目立たない苞(ほう)は小さな披針形です。

次に葉を見て行きましょう。

葉は長さ2~5㎝でやや硬く、円形~腎円形で浅く7裂します。

アップで見てみましょう。

葉の縁(ふち)には毛が生えているのも特徴です。

また高所に生え、葉柄や花柄に長毛があるものは変種カムイコザクラ var.kamuianaとされていますが、中間の型も多いです。

上の写真も葉柄に毛が生えていますが、見分けは正直微妙な所です。

葉の基部は心形となります。

ヒダカイワザクラは岩場に生え、上記の写真のように岩と岩の隙間で大規模な群落が見られることがあります。

岩の隙間を埋めるように生えている「ヒダカイワザクラ」。

まとまって生えている姿は、なかなか見ごたえがあります。

他のサクラソウ属の仲間達とは、また違った雰囲気がありますね。

このような場所では登山者の踏みつけなども無く、安心して咲く事が出来ますね。

日高山脈らしいヒダカイワザクラの群生地です。

長花柱花と短花柱花

ヒダカイワザクラを含むサクラソウ属の花は、異形花柱花(いけいかちゅうか)として知られ、長花柱花(ちょうかちゅうか)短花柱花(たんかちゅうか)の2つの型があります。

  • 長花柱花(Pin型)は、雌しべが長く、雄しべが短い
  • 短花柱花(Thrum型)は、雌しべが短く、雄しべが長い
ヒダカイワザクラの長花柱花(Pin型)

まずは長花柱花(Pin型)から見ていきましょう。

花の中心部に見えているのは、雌しべの柱頭で、雄しべは中に引っ込んでいるので見る事が出来ません。

ヒダカイワザクラの短花柱花(Thrum型)

次に短花柱花(Thrum型)です。

こちらは5個の雄しべが出っ張り、花の奥に雌しべの柱頭が引っ込んでいるのが見えるでしょうか。

北海道のサクラソウ属の花

北海道には以下の9種のサクラソウ属の花が分布しています。

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