登山ガイド

【横山中岳】植生と展望が楽しい登山

横山中岳基本データ

横山中岳(よこやまなかだけ)は新ひだか町三石にある標高724mの山です。

旧三石町では唯一の登山道がある貴重な山で、ペテガリ岳以南の日高山脈の展望がずらっと並び、展望も楽しめる山です。

国土地理院の地形図では名前の表記がありませんが、「北横山」と「南横山」の中間にあるピークに、「横山中岳」の名前が付けられました。

アクセス

横山中岳の登山道は三石から伸びる1コースのみです。

道道1025線(浦河静内線)沿いから少し入った地点が登山道の入口になります。

1025線沿いに案内看板が取り付けられていますが、小さめなので見逃さないように注意しましょう。

アップにするとこんな感じです。

このT字路付近か、この看板から少し入った先に邪魔にならないように駐車しましょう。

GPSログ

標高差644m、片道約2.7㎞、登り2時間20分程度になります。

序盤は緩やかな道が続きますが、上部に行くにつれて急な登りがいくつか出てきます。

登山道の様子(取材日:10月19日)

今回は道道1025線沿いの脇に駐車スペースを見つけて、そこから歩き始めました。

最初は放牧地に向かう林道歩き。

ここの入口にもしっかりと「横山中岳」の看板が取り付けられています。

この時期は花はありませんが、色々な実が見れて楽しいです。

上の写真は「アカシデ」の実。

このぷっくりとした実は「ミツバウツギ」。

ウツギの名前が付いていますが、実は中に空洞は無く、この種子の形状からカエデの近縁種と考えられています。

この時期に良く目立つ「ツルウメモドキ」。

花は地味で目立ちませんが、この果実は葉が枯れても鮮やかで、秋の寂しい山の風景を彩ってくれます。

林道をしばらく進むと放牧地へ。

なんとも日高らしい道を登っていきます。

放牧地から振り返ると、既にとても展望が良好です。

放牧地が終わり、再度森の中へ入っていきます。

入口はつるのトンネル状になっていました。

トンネルの下に入ると、綺麗なマタタビの実がぶら下がっていました。

猫が興奮状態になることで有名な植物ですが、熟してないマタタビの実はかなり刺激的な味です。

ワサビや辛味大根を食べているような感じ・・・、興味がある方はぜひ緑色のマタタビを食べてみて下さい。

このマタタビの近くには割れた登山道入り口の看板がありました。

クサギの赤いガクが良く目立っていました。

葉っぱが臭いので「臭木(くさぎ)」です。

札幌圏には無い木ですが、日高地方では普通に見られますね。

クサギはあまり綺麗に紅葉しないのですが、色が抜けた箇所はこのようなピンク色になって綺麗です。

この日はちょうど陽が差し込んで、素敵な色合いを楽しむことが出来ました。

日高なので、「サンショウ」の木も普通に見られます。

この丸く黒いのが実で、その周りの乾いた果実(殻みたいに割れているやつ)をミルなどで引くと、普段食べている「山椒粉」になります。

登山道は尾根上を刈払ってつけられた道で、良く整備されて歩きやすかったです。

笹を漕ぐような場面はありません。

2本の絡み合っている木が登山道上にありました。

アップで見るとこんな感じです。

「ハクウンボク」が「アズキナシ」にもたれかかっているようにくっついていました。

登山道の笹は背丈の低い「ミヤコザサ」で、森の中もとても見通しが良くて気持ちの良い道です。

紅葉したツタウルシの葉が落ちていました。

変異が多い種ですが、このようにハート型に変形して赤く紅葉すると素敵ですね。

日高地方は北海道の中でも暖かい地域なので、まだまだ紅葉が楽しめました。

これもまた存在感のある「シナノキ」の大木。

中心部には大きな穴が開いていました。

尾根を上がっていくと次第に傾斜が増してきます。

一部、急な箇所にはロープが張られていました。

写真では白飛びしてますが、振り返ると海が見えてきました。

急な登りが終わり、山頂へ到着です。

青空に映える素敵な「山頂看板」でした。

山頂から振り返ると牧草地と海が良く目立ちます。

ここからは山頂付近から見えた展望をご紹介します。

まずは日高山脈の「中日高」編。

ペテガリ岳の南側に続く、中ノ岳や神威岳などが並びます。

ここから神威岳以南の「南日高」編

ソエマツ岳が目立つ双耳峰なので、ここを目印に山座同定すると分かりやすいです。

こちらはピリカヌプリから野塚岳。

ちょっとややこしいのですが、日高にはカタカナの「トヨニ岳」と豊似湖の近くにある「豊似岳」の2つがあります。

オムシャヌプリ(双子山)や十勝岳、楽古岳などの南日高を代表する山々が並びます。

わりと目立ってたので名前を入れた1365峰は、広尾町、様似町、浦河町の境界になっているピークです。

最後に日高山脈の最南端の方の展望。

たまに勘違いしている方がいますが、アポイ岳~ピンネシリの山塊は日高山脈の主稜線から少し西にズレています。

日高山脈最南端で高い山は、写真に写っている「豊似岳」付近になります。

下山中、コガネムシが元気に歩き回っていました。

まだまだ10月の日高地方は暖かいですね。

まとめ

  • 中日高、南日高の展望が楽しめる
  • 暖かい地方なので、寒くなってきた時期がオススメ
  • わりとダニはいました。スパッツなどで要対策

最後まで御覧いただき、ありがとうございました。

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