兵庫県の淡路島(あわじしま)にある諭鶴羽山(ゆずるはさん)に登って来たので、今回ご紹介したいと思います。
淡路島には国生み(くにうみ)の神話が多く残り、歴史が好きな方にはオススメの山になります。
諭鶴羽山(ゆづるはさん)基本データ
諭鶴羽山(ゆづるはさん)とは、兵庫県淡路島(あわじしま)の南部にある標高607.9mの山で、淡路島の最高峰になります。
同じ淡路島内にある、「柏原山(かしわらやま)」と「先山(せんざん)」の3つを合わせて、「淡路三山」と呼ばれています。
山名の由来は所説ありますが、ユズリハが多く見られる事が由来となっています。
山頂稜線には3本の鉄塔が建ち、遠くから諭鶴羽山を見つける際の目印になります。
アクセス
【諭鶴羽古道 表参道】
今回は表参道から裏参道へ縦走する行程でご紹介いたします。
県道76号線の黒岩のバス停から、山側へ約600m、約10分程あるくと表参道の入口があります。
このようなしっかりとした案内看板があるので、見逃す心配は無いでしょう。
駐車場は、黒岩のバス停付近か、表参道の入口付近に数台、通行の邪魔にならないように配慮して停める必要があります。
尚、表参道の登山道は毎年、7月から11月末の山開きまでは通行止めになるので、要注意です。
山開きの日程は、下記の諭鶴羽神社さんのホームページで確認出来ます。
別リンク:諭鶴羽神社
【諭鶴羽古道 裏参道】
裏参道の入口は、諭鶴羽ダムの傍にあります。
諭鶴羽ダムには最寄りのバス停が無いので、ここへのアクセスはタクシーか、自家用車になります。
登山口の付近に数台停められるスペースがあるので、通行の邪魔にならないように駐車しましょう。
GPSログ
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今回は南側にある表参道から入山し、山頂を経由して北側にある裏参道へ縦走しました。
累積標高が登り約590m、下り約560m、歩行距離5.6㎞、約4時間の行程です(GPS計測、休憩込みの時間です)
ちなみに、今回はレンタカーを裏参道の入口(諭鶴羽ダム)へ置き、表参道の入口までタクシーで移動(約7600円ぐらい)しました。
今回お世話になったのは、洲本観光タクシーさんです(別リンク:洲本観光タクシー)
登山道の様子
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まずは表参道からスタートします。
しばらくはコンクリートの道が続きます。
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入り口横にある「行場の滝」。
落差5m程で、正直あまり見ごたえの無い滝でした。
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登っていくと、登山道脇に真っ赤な木の実を発見!
これは「サネカズラ」という常緑つる性の植物の実で、真っ赤な艶のある美味しそうな集合果です。
※ちなみに美味しくありません。
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今回歩いた表参道・裏参道は諭鶴羽古道(ゆずるはこどう)とも呼ばれていて、道沿いには舟形丁石(ふながたちょうせき)が立ち並んでいます。
お地蔵さんの顔が、それぞれ違うのもポイントなので、見比べて楽しめます。
【丁石・町石(ちょうせき)とは?】
昔の街道沿いに、目的とされる場所までの距離を示すために建てられた標識です。
1丁が約109m、36丁が1里(約4K)になります。
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ヤブツバキの咲く登山道沿い。
ツバキは照葉樹林では代表的な種の一つです。
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動物避けのフェンスが設置されていました。
通過後には忘れずに閉めましょう。
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しばらくは放棄された畑の横にある道を進んで行きます。
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畑と古道の境界には石垣がしっかりと組まれています。
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歩き始めて15分ほど、「坊さま角(ぼっさまかど)」に到着しました。
お寺があった時代には、ここで山の上に戻るお坊さん達が休憩していたようです。
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徐々に標高を上げていきます。
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大きく曲がりくねった幹の「カゴノキ」がありました。
カゴノキ(鹿子の木)は、幹が鹿の子模様(かのこもよう)になる事が名前の由来です。
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落ち葉が堆積した箇所では登山道が見えなく、やや歩きにくかったです。
道も少し荒れ気味です。
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「菊か店跡」に到着しました。
今でこそ静かな諭鶴羽古道ですが、以前は茶店があったほど賑わっていた時代があったのですね。
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私の住む北海道では見られない「カクレミノ」。
葉が3つに裂けたり、まったく裂けなかったりする葉を持つ木です。
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「柴折り地蔵」に到着。
柴折り地蔵
五丁目のこの町石を柴折り地蔵と呼ぶ
諭鶴羽古道を行き来する人が、道中の安全を祈願したり、山仕事を終えた人などが、ここから諭鶴羽山神社を遙拝した柴(うばめがしなどの小枝)を地蔵に手向けて手をあわしたので、柴折り地蔵 と伝える
どうぞ手を合わせて下さい。
ちょっと私の読解力が追い付かなかったのですが、遙拝(ようはい)とは、「遠く隔たったところから拝む」という意味なんですが、ここから諭鶴羽山神社は見えないので、
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照葉樹林の森を登っていきます。
写真は撮れませんでしたが、この辺りではいくつかの鹿の群れも見かけました。
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薬師堂跡に到着。
薬師堂跡(薬師の山)この奥
諭鶴羽権現の一堂社
薬師堂のあった所
昭和二八年に、長享二年(1488年)
銘のある五輪塔が発見された。
このあたりを薬師の山と伝える
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森の中の看板に日が当たり、なんだか幻想的な光景に。
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看板の内容は、先ほどの分岐にあったものとほぼ一緒でした。
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広く平らな場所に、五輪塔(ごりんとう)がぽつんと残っています。
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まだ色づきが残っている「ウリハダカエデ」の樹がありました。
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ようやく1丁の丁石を発見、もう間もなく諭鶴羽山神社へ到着です。
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最後は車道に出て、正面に見える鳥居の先が諭鶴羽山神社の本殿です。
右手に見えているのはトイレの建物。
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諭鶴羽山神社の本殿。
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案内看板類も充実しています。
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ここは山頂では無いのですが、関西百名山の立派な看板がありました。
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諭鶴羽山神社を参拝した後は、アカガシの森を進んで行きます。
苔が幹について、雰囲気のある空間です。
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視界の利かない森の中を進んで行きます。
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奥の院の篠山神社に到着。
諭鶴羽山神社本殿と比べるとこじんまりとしています。
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足元には大量のアカガシのドングリがありました。
諭鶴羽山の標高約450mから上には、面積12,600㎡余りに及ぶアカガシの群落があり、兵庫県指定天然記念物に指定されています。
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諭鶴羽山の山頂稜線には鉄塔が3基建っています。
それぞれNTTの電波塔、洲本土木事務所諭鶴羽中継局、近畿移動無線センター淡路送受信所の鉄塔です。
これらの鉄塔が見えると、もう間もなく山頂到着です。
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電信柱に可愛い「ユヅルハ」の文字。
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山頂稜線はすごく歩きやすい道になっていました。
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見慣れない赤い実を付けた植物を発見。
これは「オモト(万年青)」という花の実でした。
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北海道にはもちろん無い植物ですが、日本では特に西日本で自生しており、古くは江戸時代から栽培されている古典園芸植物の一つです。
北海道民の登山者にはなじみの深い「ツバメオモト」は、このオモトに葉が似ている事が名前の由来になっています。
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諭鶴羽山の山頂に到着しました。
天気に恵まれてとても気持ちの良い登山でした。
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山頂からは「大鳴門橋(おおなるときょう)」が見えました。
「うず潮」で有名な鳴門海峡にかかる橋で、兵庫県の淡路島と徳島県を結んでいます。
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山頂でのんびりお昼ご飯を食べて、裏参道側へ下山を開始。
とても歩きやすく整備された道です。
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表参道に比べ、案内標識も充実しています。
ちょっとややこしいのですが、牛内ダムは諭鶴羽ダムの隣にあるダムで、同じ方向にあります。
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「ナルトサワギク」の看板。
家畜に有害な植物
ナルトサワギク
ナルトサワギクは、マダガスカル原産のキク科の植物で、国内では1967年に徳島県鳴門市で初めて確認されたことから、この名前がついています。
繁殖力が強く、在来植物の生育に被害を及ぼすなどの理由で、2006年2月に栽培、運搬、野外への放出などを原則禁じた環境省の「特定外来生物」に指定されました。
・・・(一部省略)
近年、淡路島で猛烈に分布を拡大しています。
家畜が中毒を起こさないように、見つけ次第除去しましょう。
特に花を付けている場合は、償却し種子が拡散しないようにしましょう。
ナルトとつくので地元の自生種かと思いきや、まさかのマダガスカル産の外来種です。
このように登山者に、「見つけ次第除去しましょう」と呼び掛けているのは面白いですね、効果がありそう。
この看板の誤字ですが、償却(しょうきゃく)はお金を返す意味なので、焼却の間違いでしょうか。
この場で燃やすのは山火事の原因になりそうだし、持ち帰って燃やせとでもいうのか・・・?
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再び、照葉樹林の森の中に突入。
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裏参道側にも、しっかりと丁石が設置されています。
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植物の案内看板がありました。
このような案内は遠方から登りに来る人にとってはとてもありがたいものです。
今回の登山では「ヒメシャラ」しか見つけられなかったな・・・
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「ネズミモチ」の実を発見しました。
この木ももちろん北海道には自生していないのですが、「イボタノキ」の仲間です。
照葉樹林の中でも代表的な陽樹(日当たりの良いところを好む木)で、モチノキに似て、熟した実がネズミの糞を連想させる事が名前の由来となっています。
写真の実はネズミの糞に見えますでしょうか?というかどれだけの方がネズミの糞を見た事があるのか・・・?
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道中、ちょっと変わった丁石(ちょうせき)を発見。
位置的に、16丁目のあたりなので、4×4=16丁目? という事なのかな。
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とっても歩きやすい裏参道。
縦走しないでピストンなら迷わずこちらのコースをオススメします。
ただし、諭鶴羽山神社へ行くには山頂からちょっと下らなければいけない事が難点です。
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青空に映える「ヤシャブシ」の樹。
実は日本固有種で、西日本に多く自生しているのも特徴の一つです。
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ヤシャブシの実はこんな感じです。
西日本では花粉症の原因にもなっているそうで、またスギ花粉よりも重篤なアレルギーを引き起こしやすいとの事・・・。
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神倉神社(かんのくらじんじゃ)に到着。
神倉神社
諭鶴羽山は、修験道の聖地。裏山沿いの此の盤座に鎮座する神蔵神社は、地蔵菩薩大権現、不動明王、役行者等をお祭りし、古道を行き交う人々を見守ってきました。また、伊弉諾、伊弉冊二神が遊ばれた処でもあります。此処に、”心の荷物”を預けて清々しい心で諭鶴羽山神社へと参詣に向かってきたことから「神倉(かんのくら)神社」と呼ばれています。
”心の荷物を預けていく”なんて、素敵なフレーズですね。
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神社の傍には、カラフルな実を付けた「イヌマキ」の樹が見られました。
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落ちた実や葉も素敵な賑わいです。
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もう間もなくダムへ到着というところで、先ほど説明にあった「ナルトサワギク」を発見。
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階段を降りたら、諭鶴羽ダムへ到着です。
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裏参道の入口です。
約4時間程、お手軽な登山でした。
まとめ
- 標高差もほどほどで歩きやすい登山コース
- 歴史や古道歩きが好きな人にはオススメ
- 淡路島最高峰ですが、眺望はそこそこ
淡路島に来た際はぜひ登ってみて欲しい山でした。
最後まで御覧いただき、ありがとうございます。
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