登山・ハイキング

ウトナイ湖南東部砂丘とは?アクセス・見所など

ウトナイ湖は北海道苫小牧市にある淡水湖で、鳥獣保護区やラムサール条約登録湿地となっています。

北海道民なら名前を知っている方が大半だと思いますが、その南東部に砂丘があることを知っている人は限られているのではないでしょうか。

今回は秘境、ウトナイ湖南東部砂丘についてご紹介いたします。

ウトナイ湖南東部砂丘とは

名前の通り、ウトナイ湖の南東部に分布する砂丘群です。

ウトナイ湖を含む勇払平野は、海岸線に発達した砂嘴(さし)の内側が淡水化して、平野を形成しており、その名残が砂丘として残っています。

これは長沼のはまなす砂丘と同じ、石狩低地帯が海の底にあった縄文時代(6,000~7000年前)だったことを物語っている古砂丘と言われています。

海岸性の植生や草原性の植生などが混じり、学術的に貴重な地区として、苫小牧市自然環境保全地区にも指定されている地区です。

アクセス

JR千歳線、植苗駅から、上記の地図の地点から線路沿いに南下していく道をたどります。

植苗駅から片道3.3㎞ほど、線路沿いの林道のような道を歩きます。

距離はありますが、標高差はほとんど無いフラットな道のりです。

砂丘までの道のり


最初は森の中の道を歩きます。


次第に開けてきて、線路とフェンスに挟まれた道が続きます。


鹿よけのゲートがいくつかありますが、針金で止まっているだけなのですぐ通れます。

ゲートの閉め忘れに注意しましょう。


個人差はあると思いますが、駅から歩き始めて1時間~1時間30分程で砂丘の看板がある入口に到着です。


砂丘はどこだろう?と思いながら看板の奥に続く踏み跡をたどります。

少し進んだところで、大きな砂丘地帯が出てきました。


けっこうな広さの砂丘がずっと続いています。

しばらく辺りを散策しましたが、砂丘地帯はかなり広範囲に広がっていました。

砂丘地帯の奥に進む場合は、帰り口が見つけにくいので、迷わないように注意しましょう!

砂丘の入口は、上記のあたりです。

反対側の沼ノ端駅側にも林道が続いており、こちらからのアクセスの方が近く感じますが、道路の入口に、「立ち入り禁止」の看板が立っていました。

おそらく不法投棄防止が理由だと思われるので、こちらからアクセスしたい方は苫小牧市へ問い合わせてみるのもいいかもしれません。

見られた植物(2019年9月1日取材)

チョウセンゴミシ

チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)マツブサ科

果実は古くから生薬として利用され、滋養強壮作用や鎮咳(ちんがい)作用があるとされています。

五味子は、実に甘・酸・辛・苦・塩の5つの味があることが、名前の由来です。

フェンスにからまる「つる性植物」で、実が色づき始めた姿にとても色気を感じてしまうのは私だけでしょうか。

エゾノカワラナデシコ

エゾカワラナデシコ(Dianthus superbus var.superbus)ナデシコ科

林道沿いに咲いていました。海岸から高山の岩場や草地に生える多年草で、ピンクの花色がとても綺麗でした。

ツリフネソウ

ツリフネソウ(Impatiens textorii)ツリフネソウ科

北海道から九州まで広く分布する花で、なんといっても魅力は距(きょ)の先端がくるっと丸まっているとこでしょう!

船型の花がぶら下がる、名前の通りのお花です。

エゾノコリンゴ

エゾノコリンゴ(Malus baccata var. mandshurica)バラ科

海岸~山地に生育する種類で、リンゴに似ている小さい実がなっていました。

この実はやや酸っぱいですが、食べることが出来ます。

ヒメイズイ

ヒメイズイ(Polygonatum humile)クサスギカズラ科

ヒメイズイの実が黒く熟していました。「イズイ」はアマドコロの根を乾燥させた生薬の名前で、ヒメ(小さい)イズイ(アマドコロ)。

似ている姿の多いアマドコロ類ですが、この種は茎が直立して花の付き方も特徴があるので、比較的見分けやすい印象です。

ノコギリソウ

ノコギリソウ(Achillea alpina subsp.alpina var. longiligulata)キク科

名前の通り、鋸のような葉が特徴の花です。マットな質感の花が個人的にはお気に入りの種類です。

ウメガサソウ

ウメガサソウ(Chimaphila japonica)ツツジ科

花が終わって果実になっていました。花の時期はうつむいて咲いているのですが、実になると上を向きます。

こちらは隣の千歳市で撮影した花期のウメガサソウです。白い花をひとつ、下向きにつけます。

オオウメガサソウ

オオウメガサソウ(Chimaphila japonica)ツツジ科

こちらもウメガサソウ同様、果実になっていました。

こちらも隣の千歳市で撮影した花期の姿です。このような淡紅色の花を複数つけます。

次回はウメガサソウ&オオウメガサソウの花の時期にでも再訪したいと思います。

ハマナス

ハマナス(Rosa rugosa)バラ科

ハマナスもすっかり実の時期でした。海岸の砂丘や草地、山地のれき地に生育する、海岸植生の代表的な種のひとつです。

ハナイカリ

ハナイカリ(Helenia corniculata)リンドウ科

花の先が4全裂して、まさに船の碇(いかり)のような姿の花です。海岸~山地の草地や原野に生育します。

ハンゴンソウ

ハンゴンソウ(Senecio nemorensis)キク科

葉の列片が幽霊のように垂れ下がることが、反魂(はんごん)の名前の由来となっているとされています。

ちなみに道中では外来種のオオハンゴンソウもたくさん咲いていました。

ウンラン

ウンラン(Linaria japonica)オオバコ科

まさかの線路の砕石から生えていました。

海岸や野山の砂れきやれき地に生える種類なので、意外な生育適地だったのでしょうか。

ナミキソウ

ナミキソウ(Scutellaria strigillosa)シソ科

海岸の波打ち際に近い砂浜や草地に生えることから、波来草(なみきそう)の名前がついています。

オトコエシ

オトコエシ(Patrinia villosa)スイカズラ科

オミナエシ(女郎花)に似ていますが、こちらは花色が白。ちなみに漢字で書くと「男郎花」。

まとめ

・片道3.3km、花を見ながら歩くと片道1時間~1時間30分

・砂丘と名前はついているが、現地は砂場が広がっているだけ

・距離はあるが平坦なので、体力のない方もおすすめ

・景色や見晴らしが良いわけではないので、植物好きな方は楽しめると思う。

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