雑記

2019年9月20日十勝岳の遭難・死亡事故について考える

2019年9月20日、残念なことに十勝岳で男性が遭難し、翌日救助されましたが残念ながら死亡事故になってしまいました。

北海道の山では今回のような事故が、たびたび発生している印象です。

本州から北海道の山へお越しになる方への注意喚起の意味も含め、今回の事故を考察してみる事にしました。

事故概要

 

十勝岳で男性遭難 救助も死亡

2019/09/22(日) 10:01 掲載

十勝岳で男性遭難 救助も死亡

 20日、大雪山系の十勝岳で登山中の男性が吹雪の中で遭難し、21日、男性を見つけて救助しましたが搬送先の病院で死亡が確認されました。
十勝岳で行方が分からなくなっていたのは千葉県千葉市に住む50歳の男性です。21日昼ごろ十勝岳の山頂から北西側にあるグラウンド火口近くの斜面で男性を見つけヘリコプターで救助しました。男性は病院に運ばれ、その後死亡が確認されました。
男性は20日午後3時前に救助を求めて通報、「山頂から20分ほど降りた登山コースにいる」などと携帯電話で話し、警察が救助に向かいましたが、その後連絡が取れなくなり、捜索はいったん打ち切られました。翌日の21日午前6時すぎに再開され、山岳救助隊のメンバーら10人がヘリで山頂付近に向かっていました。男性は通報の際「水とおにぎりを持参し、ウインドブレーカーを着用している」と話していました。十勝岳は20日夜、風速15メートルの吹雪に見舞われ、登山コースの付近ではひざまで雪が積もっていたということです。

HTBニュース https://www.htb.co.jp/news/archives_5579.html

遭難した3つの要因

令和の初雪量

男性が遭難した9月20日(金)は未明からの雪で、大雪山黒岳の石室(標高)1920mでひざ下ぐらいの積雪量があったと、石室の管理人から伺いました。

また風速も15m~20mと強めの風も吹いており、吹き溜まりでは肩程の雪山もできていたとのことでした。

事故の起きた、十勝岳(標高2077m)でも同等の気象条件、もしくはそれ以上だったということが推測できます。

今回の初雪の時期は例年並みですが、強い寒気で標高1000m付近でも積雪になるなど、山の上から中腹にかけて冠雪する珍しい初雪となりました。

十勝岳の地形

一度行ったことのある方はわかると思いますが、十勝岳は活火山で、ルート上には樹木がほとんどありません

まるで火星の上を歩いているような登山道で、視界が悪い時は道に迷いやすく、また風を避けれる場所が少ないです。

晴れていれば気持ちの良い道ですが・・・

このような地形条件では、吹雪による視界不良・吹き溜まり、強風による低体温症などのリスクを考えなければなりません。

装備不足

報道によると、男性の装備は「水、おにぎり、ウインドブレーカー」を持っているとの事でした。

今回は千葉県の男性でしたが、冬山の経験はあったのでしょうか?

まず防水性のないウインドブレーカーでは、体が濡れて、風が強かった場合にはすぐ低体温症⇒凍死となります。

おにぎりは凍るので冬山には向きません。最悪ビバークとなった際に食料が食べれない状況ですと、体の熱を生み出すことが出来ず、低体温症のリスクが増えます。

GPSやコンパスは持っていたのでしょうか?目印の少ない冬山ではルートファインディングが出来ないと、すぐ遭難してしまいます。

ビバーク用のツェルトやテントは持っていたのでしょうか?1月や2月ですと積雪量も豊富にあるので雪洞を掘ることも出来ますが、初雪の時期は悪天候時の逃げ場所がありません。

北海道の山に登る際に注意して欲しい事

  • 【低体温症のリスクを考える】
  • 北海道の2,000m級の山々は、本州の3,000m級と同等の気候条件と言われています。

    夏でも気温が1桁になる事があり、また夏に凍死事故が起きるのは北海道の山の特徴です。

    また北海道の山は森林限界が低いので、登山の際は風のリスクを考えることが必須です。

  • 【装備について】
  • 北海道の山は避難小屋しかなく、数も少ないので、登山の装備は入念に考えましょう。

    悪天候時にビバーク出来る用意はありますか?

    飲み水は十分に持ってきていますか?

    北海道の山では登山者の数も少ないので、単独の登山者は怪我した場合、誰にも見つけて貰えないことも多々あります(電波が通じないとこも多いです)。

  • 【登る時期について】
  • 北海道の山の夏山シーズンはとても短いです。

    高山では夏でも雪渓が残り、初雪の時期も9月中旬頃になります。

    6月~7月中旬は雪渓による滑落事故が起き、8月、9月には低体温症による事故が起きます。

    北アルプスのような岩稜帯はありませんが、気象由来の事故が多いです。

    悪天候時に無理しないで、引き返す勇気を持ちましょう。

    まとめ

    9月の標高2,000m級の山に登るなら、悪天候時には無理に登山をしないようにしましょう。

    今回の事故は、膝程の積雪があったのにも関わらず山頂を目指してしまったという判断ミスが一番の原因だと感じました。

    特に本州からお越しの方は、飛行機代をかけて来たから、登らないと勿体無い・・・といった心理が働くのかもしれません。

    事故に遭われた方のご冥福を心よりお祈りいたします。

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