植物図鑑

セタナキンポウゲ「北海道の花」

セタナキンポウゲとは

名称:セタナキンポウゲ(瀬棚金鳳花)
学名:Ranunculus hondanus Kadota
分類:キンポウゲ科 キンポウゲ属

2019年に新種発表された花で、北海道久遠郡せたな町でしか見つかっていない特産種になります。

花期は5月、本州に分布するツルキツネノボタンに似た黄色い花を咲かせます。

似たツルキツネノボタンは本州なので区別する必要はありませんが、下記の違いがあるとされています。

  • 茎は地面を這うことなく斜上する
  • 花が直径12–15 mmと大きい
  • 花弁が倒卵形でより大きく,長さ7–8 mm
  • 花弁の付属体は蜜腺と癒合する
  • 集合果はより大きく直径8–10 mm
  • 痩果に短い柄と長さ1.5 mmで先端が強く屈曲する嘴(残存花柱)がある

参考文献:日本産キンポウゲ属(キンポウゲ科)の2新種

名前の由来

せたな町で見つかったキンポウゲの新種というのが名前の由来です。

現在はせたな町内の一部でしか見つかっていないので、今後の分布調査が気になりますね。

セタナキンポウゲの特徴

ちょうど花期に写真を撮る事が出来たので、詳しく見て行きましょう。

キンポウゲの花らしく、光沢のある花弁が良く目立ちます。

花のアップです。

光沢のある花弁が5枚、花の中心部に雌しべ群、その周囲を取り囲むようにあるのが雄しべ群です。

茎葉は3出複葉とすべきか、3深裂とすべきか判断が難しい感じです。

裂片の先はあまり鋭くは尖らないようです。

茎には、まばらにつく上向きの毛が生えています。

本州産のツルキツネノボタンと似た特徴で、がく裂片が湾曲するのが特徴的です。

花の裏にあるので観察しにくいですが、がくは5枚あります。

茎葉の裏にもまばらな毛が目立っています。

自生地の様子です。

木道の脇の湿地に群生していました。

こちらの花は徐々に果実へ変化していっています。

花のつぼみも観察出来ました。

今度は集合果を見て行きましょう。

セタナキンポウゲは痩果で、ツルキツネノボタンとの違いは、痩果に短い柄と長さ1.5 mmで先端が強く屈曲する嘴(残存花柱)がある点で区別できる、とされています。

観察してみると、思ったより強く屈曲していませんでした。

こちらの残存花柱も、明らかに強く屈曲していません。

ゆるく曲がる、といった表現の方が適切な雰囲気です。

痩果が熟すと屈曲が強くなるのでしょうか・・・?

基部の様子です。

本州産のツルキツネノボタンと違い、セタナキンポウゲの茎は地面を這うことなく斜上するのが区別点との事です。

根元に根出葉もいくつか見えていますが、茎葉と形が似ていて3深裂しています。

たくさんのエゾノリュウキンカに囲まれたセタナキンポウゲです。

また機会に恵まれたら観察に行きたいと思います。

【おまけ】

この時期のせたな町は、残雪のある狩場山の風景が素敵です。

※黄色い花はタンポポです。

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