7月末から8月上旬の花の時期に、南アルプスの聖岳から赤石岳、荒川三山と縦走してきました。
花も展望も楽しめた贅沢な山旅になりましたので、今回ご紹介させていただきます。
山の紹介
聖岳とは
聖岳(ひじりだけ)とは、長野県と静岡県の境界に位置する標高3013mの山で、日本百名山に選定されています。
全国に21座ある3000m峰の中では一番標高が低く、南アルプスの中では一番南に位置する3000m峰となっています。
登山では光岳(てかりだけ)とセットで登られる事が多い印象ですが、今回は反対側の赤石岳、荒川三山とセットで登りました。
赤石岳とは
赤石岳(あかいしだけ)とは、長野県と静岡県の境界に位置する標高3120.5mの山で、日本百名山に選定されています。
南アルプスでは4番目の高さですが、山頂にある一等三角点は国内では最高所となっています。
荒川三山とは
荒川三山、また荒川岳とは、前岳(3068m)、中岳(3084m)、悪沢岳(※東岳 3141m)の総称です。
日本百名山に選定されており、赤石岳とセットで登られることが多い山です。
アクセス
畑薙の臨時駐車場から、特殊東海フォレストのシャトルバスに乗って登山口まで向かいます。
東海フォレストの運営する山小屋に1泊以上しないとシャトルバスには乗れません。
詳しくはホームページでご確認下さい。
GPSログ
初日は聖沢登山口から聖平小屋までの行程です。
約7.8㎞、歩行時間7時間30分ほどでした。
2日目は聖平小屋から、聖岳、兎岳、中盛丸山を越えて百間洞山の家まで。
約8.4㎞、ゆっくりペースで歩行時間10時間ほど。
3日目は百閒平を経由して、赤石岳、小赤石岳を進み、荒川小屋まで。
歩行距離7.4㎞、体調不良者が出てゆっくりペースで歩行時間8時間ほど。
4日目、荒川小屋から中岳、悪沢岳、千枚岳と歩き千枚小屋へ。
約6.5㎞、ゆっくりペースで歩行時間7時間30分ほど。
5日目の下山日、千枚小屋から椹島ロッジまで9.4㎞、歩行時間6時間ほど。
登山道の様子(24/07/29~8/2)
初日は聖沢登山口から聖平小屋まで。
いくつか吊橋を越えて歩くコースです。
途中の展望地で見上げた聖岳。
樹林帯では綺麗な「コイチヨウラン」が咲いていました。
2日目、聖平小屋を出て聖岳を目指します。
朝焼けと上河内岳方面。
徐々に高度を上げ、展望が良くなってきました。
ボロボロになったお団子標識のある「小聖岳」の山頂に到着。
正面に聖岳が迫力のある姿で見られます。
ホシガラスがよく見られました。
ちょうど岩の隙間にハイマツの実を置き、器用にくちばしで石を持ち上げて蓋をしていました。
ミネウスユキソウが咲いていました。
ウスユキソウの仲間では地味な花です。
聖岳山頂に到着です。
少し雲が湧いてきました。
登って来た方面を振り返ると、上河内岳や茶臼岳など、光岳へ続く稜線上の山々が綺麗に見えていました。
先ほどの写真の続き。
光岳(てかりだけ)から南の山域は、南アルプス深南部と呼ばれ、二百名山の大無間山や三百名山の黒法師岳などが知られています。
奥深いエリアですが、いつかは歩いてみたい山々です。
聖岳山頂から兎岳との鞍部に向けて下っていきます。
聖岳から兎岳へ続く稜線上は、南側が切れ落ちた崖斜面になっていて、とても高度感がありました。
南アルプスを代表する高山植物の「タカネビランジ」が咲いていました。
最低コルへ到着。
ここから兎岳の登りが始まります。
近づけない崖斜面にもタカネビランジがたくさん咲いていました。
トウヤクリンドウも良く目立つ花です。
兎岳山頂に到着です。
兎岳の山頂にもタカネビランジが咲いていました。
聖岳をバックに撮影できる良い場所です。
稜線上を歩いて、小兎岳、中盛丸山と越えて行きます。
小兎岳の山頂にも看板がありました。
百間洞山の家到着。
小屋に付く前にスコールに当たってしまいましたが、薪ストーブを焚いてもらえて助かりました。
3日目、まずは百閒平へ向けて登っていきます。
明日に登る前岳と悪沢岳が見えてきました。
さらに高度を上げると、南アルプス北部の名山達が見えてきました。
百間平に到着です。
正面にこれから向かう赤石岳が大きく見えています。
振り返ると、昨日歩いてきた兎岳、小兎岳、中盛丸山が見えました。
赤石岳を目指して進みます。
3000m峰が4つも大きく正面に見え、なかなか贅沢な風景でした。
少し進んだ所から振り返ると、百間平から中盛丸山が頭を出していました。
聖岳もとても綺麗に見えています。
近づくにつれて、赤石岳が壁のように聳えています。
登りきると、赤石岳避難小屋とその奥に山頂が見えました。
赤石岳山頂についた時は残念ながら真白でした。
まだ午前中ですが、他の山域に比べて南アルプスは雲が湧くのが早いです。
こちらが日本で一番高い所にある三角点。
小赤石方面へ下って見た赤石岳。
大聖寺平へ向けて下っていきます。
この標柱の場所が大聖寺平です。
トラバース道を進んで行くと、宿泊する荒川小屋が見えました。
4日目、ガスの中スタートです。
上部は展望が良さそうなので、期待して登っていきます。
雲海の向こうに富士山が見えました。
昨日登った赤石岳。
雲の感じがとても素敵です。
前岳カールの鹿よけネット。
前岳カールのお花畑は残念ながら少し時期が過ぎていましたが、それでも景色は最高でした。
まもなく荒川岳の稜線上に到着です。
今まで見えていなかった北アルプスや中央アルプスが見えました。
アップで。
槍ヶ岳は遠くからでも分かりやすく尖っています。
中央アルプスの方が少し近くに見え、奥に御嶽山も見えていました。
稜線上を少し進んで、まもなく荒川中岳山頂です。
中岳山頂に到着です。
素晴らしい展望が待っていました。
まずは南アルプス北部の山々から見てみましょう。
鳳凰三山や間ノ岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳、塩見岳などが良く見えていました。
鳳凰三山の東側には、奥秩父の西端にある金峰山の山並みが見えています。
仙丈ケ岳の左手奥には、戸隠エリアの火打山、妙高山、高妻山がうっすら見えていました。
すごく遠くまで見えている感じがしますが、高妻山までは長野県です。
山頂から少し進んだところにある中岳避難小屋です。
正面は悪沢岳。
天気が良いので、色々と干していました。
小屋前で休憩して、悪沢岳へ向けて出発。
悪沢岳周辺はお花がとても綺麗でした。
紫色のタカネマツムシソウやピンクのタカネナデシコが良く目立ちます。
山をバックに。
青空とお花畑と山容がとても良く合います。
こちらはタカネシオガマ。
こちらはコバノコゴメグサ。
悪沢岳山頂到着です。
立派な標柱なのに字が消えかかっていて少し残念でした。
悪沢岳山頂を後にして、千枚岳へ向かいます。
千枚岳周辺もお花が素晴らしく、ホソバトリカブトの群生地がありました。
紫のタカネマツムシソウ、白いタカネビランジ、ピンクのタカネナデシコ、タカネシリーズのお花が集まっていました。
タカネビランジはピンク色もありますが、白花も見られます。
ガスが出てきて少し残念でしたが、ここのお花畑は来る価値のある素晴らしい場所でした。
お花見しているうちに千枚岳に到着。
マルバダケブキの群生地が見えてくると間もなく千枚小屋です。
小屋到着。
明日はいよいよ最終日です。
山行5日目。
千枚小屋の前は開けていて、ちょうど朝焼けと富士山が綺麗に見られました。
日の出、朝から気持ちの良いスタートです。
すぐ樹林帯でほとんど展望の無い道が続きます。
何気なく撮った蕨段(わらびだん)の看板。
陽が出ると樹林帯でも暑かったです。
シャトルバスの起点になる椹島へ、小屋からゆっくり6時間ほどかけて下山しました。
まとめ
- 特に危険個所は多く無いがアップダウンがあるコース。宿泊場所は体力と要相談。
- 近年の猛暑の影響もあって、早ければ9時頃でもガスが湧いてしまう。早出早着を心がけましょう。
- 聖平小屋のビールが売り切れていてとても残念でした。
日数はかかりましたが、花も展望も楽しめる良いコースでした。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
登山・ハイキング倶楽部では、登山ガイド・森林インストラクターの橋本竜平がご案内する、会員制のガイドツアーを実施しております。
顔が見える範囲の少人数制で、自然を楽しみながら歩くことを目的として立ち上げた倶楽部です。
もしよろしければ、一緒に山歩きを楽しんでみませんか?