登山・ハイキング

【五色岳&化雲岳】沼の原コース ツアーレポ

4年ぶりに開通したクチャンベツから、五色岳と化雲岳に登る1泊2日のコンパクトにまとめたツアーに行ってきました。

久しぶりの沼の原からの登山、最高の天気に恵まれたツアーの様子を報告したいと思います。

沼の原へのアクセス

大雪高原山荘へ向かう町道から、層雲峡本流林道へ入った先にクチャンベツ沼の原登山口があります。

2016年7月31日の大雨で通行止めとなっていた林道ですが、2020年6月27日から4年ぶりに開通しました。

久しぶりの開通で登山道も荒れていましたが、地元のNPO法人かむいさんが登山道の笹刈りをしてくれて、かなり歩きやすい登山道になっていました。

「特定非営利活動法人かむい」(別リンク)

五色岳とは

五色岳(ごしきだけ)は標高1868mの山で、表大雪とトムラウシ山の縦走路の間で、石狩連峰への分岐点にもなっています。

なだらかな山容で、五色ヶ原(ごしきがはら)は五色の高山植物に彩られていたのが名前の由来です。

基本的には縦走の途中で通るピークですが、五色岳登頂を目的とした、沼の原クチャンベツコースからの日帰り登山をする方も多いです。

ちょっとややこしいですが、大雪山には烏帽子岳と白雲岳の間にある方の五色岳(2,038m)もあります。

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化雲岳とは

化雲岳(かうんだけ)は標高1,954mの山で、表大雪の山々とトムラウシ山を繋ぐ縦走路の間にある山です。

最短コースの天人峡温泉からも日帰りで10時間以上は強いられるので、主に縦走のついでに踏まれる山です。

山頂には遠くからでも目立つ大岩の「化雲岩」があり、山座同定の良い目印になります。

今回のツアーではクチャンベツから入山し大沼で1泊、翌日に化雲岳を登頂してクチャンベツに降りる1泊2日のコンパクトな日程でまとめました。

登山道の様子(ツアー日:2020/7/18・19)

序盤は笹が多い樹林帯のルート。

開通直後はかなり笹被りが酷かったようですが、刈払いが入ってとても歩きやすかったです。

ニシキ沢を渡渉して、しばらくは緩やかな尾根を登っていきます。

倒木を利用した可愛らしいベンチがありました。

始め1時間ぐらいに出てくる急登のあたりにあるので、休憩場所としてもちょうど良かったです。

湿原なので、アカエゾマツが多いですね。

トドマツやエゾマツに比べて、アカエゾマツは湿地、溶岩上、火山灰地など、栄養状態の乏しい土地でも生育することが出来ます。

急登を終え、しばらく進むと沼の原の湿原地帯が始まります。

沼の原へ到着

湿原一帯は綺麗に木道が整備され、とても歩きやすい登山道です。

ここでトムラウシ山が初めて顔を出しました。

今回のルートはほとんどの行程で「トムラウシ山」を眺めながら歩くことが出来ます。

揺れるワタスゲとトムラウシ山。

とても絵になる光景ですね。

池塘とトムラウシ山の光景、とても素敵な組み合わせです。

大沼キャンプ指定地には入口が3か所ありますが、クチャンベツ側に一番近い入口はやや笹が被ってました。

登山口の車の数がやたらと多かったので、テントを張る場所があるか心配していました。

着いてみると、大沼の水がかなり少なく、どこでも張り放題です。

今年の雪不足の影響もあったのでしょうか?

早めに大沼に到着できたので、夕食まではのんびり休憩。

背後には石狩連峰も見えています。

だんだんと日が傾いてきました。

風が止み、大沼の湖面が水鏡になりましたが、トムラウシ山に雲がかかりちょっと残念。

そして邪魔な位置にテントが張られていて、写真を撮るにも入り込んでしまって、うちのお客さん達はご立腹でした。

不思議と、翌日も別の方が同じ位置にテントを張っていましたが、ネット上であの場所で張るのが流行ってたりするのかな?

少し湿原の方をお散歩してきました。

これは「ナガバノモウセンゴケ」、捕虫葉から甘い香りのする粘液を出して虫を捕らえる、食虫植物です。

とても小さい、「ツルコケモモ」。

常緑の矮小低木で、高層湿原に生育しています。

2日目 大沼から化雲岳へ

翌日は完全に陽が登り切る前からスタート。

石狩連峰の横から朝陽が登ってきます。

五色の水場を過ぎ、急登を超えると今まで見えなかったニペソツ山を見る事が出来ました。

標高が上がるにつれ、雪渓も出てきました。

朝の雪渓は固いので、慎重に歩を進めます。

朝露とエゾコザクラ。

早朝の山行では朝露で濡れるので、カッパの下は履いておいた方が無難です。

五色ヶ原突入

五色ヶ原に入ると、たくさんの高山植物のお花畑が見られました。

トムラウシ山もしっかりと背後に見え、とても良い写真スポットです。

一面のピンクはエゾノツガザクラ。絨毯のように広がっています。

五色ヶ原一帯は木道があり、とても歩きやすい道です。

振り返ると、朝出発してきた大沼も見えています。

チングルマの群落はいたるところにありました。

「ヨツバシオガマ」

イネ科から栄養をもらっている「半寄生」と呼ばれる生活様式で、自分でも光合成をします。

「ミヤマオグルマ」

まだ早朝だったので、朝露に濡れてキラキラしていました。

五色岳は本当になだらかな裾野をもった山。

写真で見てもほとんど平坦な感じですね。

今回のルートは距離は長いですが、標高差はあまりありません。

チシマノキンバイソウ群落とトムラウシ山。

五色ヶ原を代表する風景の一つです。

チシマノキンバイソウはキンポウゲ科の多年草。

大きな花をつけるので、お花畑はとても見ごたえがあります。

五色岳山頂に到着

五色岳の山頂からは、表大雪の山々と、崖状に切れ落ちた斜面が目立つ忠別岳が良く見えました。

目指す化雲岳は一番左のとんがりピーク。

登りはほとんどありませんが、距離はまだまだ先です。

化雲平のお花畑

化雲平もお花の綺麗な場所で、木道が設置されています。

トムラウシ山を眺めながら、気持ちの良い道のりです。

チングルマの群落の中に、エゾノハクサンイチゲが紛れていました。

エゾヒメクワガタ。

大雪山では良く見られる小型のお花です。

トムラウシ山がどんどん近くなってくる。

これだけトムラウシ山を見て登らないという、作った自分が言うのもなんですが、変わったツアーですね。

ミヤマリンドウに紛れて、「リシリリンドウ」が咲いていました。

三角形の副片が花の内部を塞ぐようについています。

化雲岳山頂の大岩が近くに見えてきました。

化雲平のあたりは、ヒグマの掘り返し跡がたくさん見られました。

写真に写っているハクサンボウフウの根が、ヒグマの大好物です。

この辺りをテリトリーにしている個体がいるのでしょう。

クモマユキノシタ。

とても繊細な花の作りをしていて、大好きな花の一つです。

ホソバウルップソウ。

ほとんど終わっていましたが、少しだけ花が残っている株がありました。

化雲岳分岐を越えたあたりは、チングルマが綺麗でした。

いよいよ山頂へラストスパート。

山頂到着!

ここまで長い道のりでした。

表大雪方面の展望。

旭岳と白雲岳の標高が高いのが良く分かりますね。

トムラウシ山方面の展望。

トムラウシ山の右手には十勝連峰の山々が見えています。

山頂にある化雲岩には、ミヤマダイコンソウとイワヒゲが咲いていました。

タカネシオガマ。

真上から写すのが定番化しているお花ですね。

帰りはニペソツ山と石狩連峰を見ながら下山。

ここからクチャンベツまでも長い道のりです。

おまけ

化雲岳アタック後、大沼まで戻りテントのフライを外すと、ヤゴが羽化していました。

インナーテントとフライの隙間に入り込んで、無事に外に出られたのでしょうか?

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