亀田半島の東端、旧椴法華村と旧恵山町の間に位置する火山で、標高約300mの火口原駐車場まで車が入れるアクセスの良い山です。
火口原駐車場を挟んで、海向山と恵山が対峙し、1日に二つとも登る事も出来ます。
登山者の多くは火口原駐車場から登る事が多いですが、今回は比較的人の少ない森林浴コースをご紹介したいと思います。
もくじ
アクセス
『ホテル恵風(けいぷ)』さんの駐車場横に登山口があります。
トイレは道路を挟んで反対側の『恵山岬灯台公園』の公衆トイレか、ホテル恵風さんでお借りして、下山後の日帰り入浴を利用するようにしましょう。
コースMAP
鳥瞰図はカシミールを利用して作成しております。
登山道の様子(取材日2019/5/12)
森林浴コース
駐車場の隅に登山道の入口がありました。
恵山といえばヤマツツジが有名ですが、まだ花の時期には早かったです。
膨らんだ赤いつぼみの向こうに、これから向かう恵山の稜線が見えています。
案内看板は随所に見られました。
椴法華村(とどほっけむら)の看板が、味があって素敵ですね。
序盤は広葉樹林の中を進む、比較的平坦な道のりです。
『森林浴コース』の名前に違わない、新緑が気持ちの良いコースでした。
樹木看板も良くつけられていて、とても勉強になります。
登山口から800m程進むと、旧道(車道)と出会います。
ここから十三曲コースまでは、車道歩きです。
道南らしい『サワグルミ』の大木が見られました。
オニグルミに比べると葉が小さく、風に揺れてさわやかな印象でした。
十三曲コース
砂防ダムが見えてくると、十三曲コースが始まります。
つづら折りの急登が始まり、標高差200m程登ります。
しばらくはサラサドウダンやリョウブなどの樹林の中ですが、途中から視界が開けてきます。
海を見ながら、植物を見ながらゆっくりと登ります。
急登が終わると、岬展望台とへの分岐に到着です。
恵山の山頂に行くのであれば、岬展望台は特別行く必要は無いかと思われます。(あまり見える景色が変わらない為)
私たちは寄り道しましたが、収穫は「ミネズオウ」が見られた事ぐらいでした。
正面に海向山を見ながら、権現堂分岐に向けて平坦な道のりです。
この辺りはミヤコザサが広がっていました。
権現堂コース
ここからまた急な登りの始まりです。
火山礫のゴロゴロした道と、火山植生を楽しめるコースです。
標高が上がってくると、椴法華(とどほっけ)側に銚子岬が見えてきました。
正面に見える顕著な登山道は「八幡川コース」です。
眼下の平坦地は『賽の河原』と呼ばれています。
賽の河原を挟んで、反対側に海向山が良く目立ちます。
白い火山礫と青い海、この絶景が恵山の醍醐味ですね。
遠くまで足を延ばして来た甲斐がありました。
登山口のある、『ホテル恵風』も登山道から見下ろす事が出来ました。
標高差565mの道のりですが、高度感がありますね。
山頂部は、ガンコウランやコケモモなどに覆われた平坦地でした。
写真右奥には、駒ケ岳と佐原岳が見えています。
恵山到着です!
標柱は動かないように、ワイヤーで固定されていました。
海の向こうに下北半島が見えていました。
何度か訪れていますが、こんなにくっきり見えたのは初めてでした。
恐山山地の山々が見えています。
見られた植物 草本編(取材日2019/5/12)
ムラサキケマン
森林浴コースの序盤によく咲いていました。
ウスバシロチョウの食草ですが、毒草になります。
マムシグサ
出始めのマムシグサがありました。
ヘビ嫌いな方には気持ち悪い花かもしれませんが、わりと好きな花です。
ニシキゴロモ
名前は派手ですが、とても地味な花です。
花色は紫が普通ですが、この個体は白花でした。
チゴユリ
花が下向きに咲くので、控えめな印象のある花です。
小さくて可愛らしい様子から、『稚児ユリ』と名付けられたそうです。
ゼンマイ
一見、花のようにも見えるのですが、シダ植物の一部に見られる胞子葉(ほうしよう)です。
周りのやや赤っぽく見えている葉は栄養葉になります。
見られた植物 木本編(取材日2019/5/12)
ハウチワカエデ
ちょうど花の時期で、森林浴コースで良く見られました。
葉の下に赤い花がぶら下がる姿は、新緑の中でとても目立ちます。
オオバクロモジ
枝や樹皮に芳香があり、和菓子のつまようじに利用されている木です。
北海道では道南地域に来ると、良く見られる種類です。
アオダモ
野球で使うバットの原料で利用される木です。
青灰色で滑らかな樹皮も特徴的な種類です。
アカシデ
分布は北海道南部で、個人的にあまりなじみの無い種類です。
幹が暗灰色で、平滑なのが特徴的です。
オオカメノキ
ちょうど花の時期で、森林浴コースで良く見られました。
見事な花付きの個体が多かった印象です。
サワグルミ
サワグルミの大木がいくつか見られました。
クルミと名前がついていますが、オニグルミのようなクルミは出来ず、食べる事が出来ない残念な種類です。
オニグルミに比べ、葉が小さく隙間が空いているのが特徴です。
ヤマウルシ
ちょうど開葉したての個体がいくつか観察できました。
赤いハート型の葉痕がトレードマークです。
触るとかぶれるので注意が必要です。
コヨウラクツツジ
ツツジの中でも、一番地味な種類なのではないでしょうか。
ガイド中に説明しても、よく『咲いているのこれ?』と言われてしまうほど、地味なつぼ型の花です。
イソツツジ
イソツツジの群落が至る所にありましたが、花期にはまだ少し早かったです。
満開のころに訪れると、見事な光景になりそうです。
ホツツジ
十三曲コースの斜面でこの蒴果が良く見られましたが、最初は何かわかりませんでした。
ホツツジの分布は道内では道南で、良くにた『ミヤマホツツジ』は花こそ似ていますが、果実は全然別の形状です。
花期は7月~8月頃ですが、そのころに恵山に来ることがあるだろうか・・・などと考えていました。
ハナヒリノキ
芽吹き出しの赤い葉がとても綺麗でした。
毒草で、かつては葉を粉末状にしたものを、汲み取りトイレのウジ殺しとして利用されていました。
その粉末が間違って鼻に入ると、激しいくしゃみを引き起こす事から、名前がついています。
※嚏(はなひり)はくしゃみの意
サラサドウダン
こちらも時期早く、開葉前でした。
こちらも花期になれば見事な光景になりそうです。
分布は北海道南部です。
コシアブラ
登山道上でいくつか見られました。
山菜で食べるには、葉の開ききらないものが美味しいです。
葉の下にある、短枝が良く目立っています。
コメバツガザクラ
山頂部の岩の隙間に生えていました。
大好きな花の一つで、この小さな壺型の花からは、とても良い香りがします。
この数ミリしか無い小さな花の匂いを嗅ぐには、地面に這いつくばって、顔を近づける必要があります。
変な人だと思われるので、周囲に人が居ない時にこっそりと嗅いでみましょう。
まとめ
最高の天気と展望に恵まれた、とてもありがたい1日でした。
海の近くで、また稜線上は風当たりも良いので、悪天候時には無理に登らないようにしましょう。
・森林から火山への移り変わりが楽しい
・火口原からのピストンではもの足りない方におすすめ
・海霧で気温が低くなることもあるので、防寒対策は忘れずに
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