登山ガイド

【バケモノ山~カルルス氷筍洞窟 縦走】樹氷と氷筍が楽しめる冬山

ツアー本番と下見で2回、バケモノ山からカルルス氷筍を繋ぐルートを歩いてきました。

樹氷と氷筍が一度に楽しめる、とても良いコースだったので、今回ご紹介したいと思います。

バケモノ山とは

バケモノ山は、標高1077mの山で、オロフレ峠から来馬岳(らいばだけ)を繋ぐ稜線上に位置しています。

国土地理院の地形図には名前も無く、山名の由来も不明ですが、何者かが勝手にコンクリート製の山頂標柱を設置した事で知られています。

支笏洞爺国立公園内の工作物の設置は許可が無いとダメなので、環境省や地元の営林署の意向を受け、登別山岳会がバケモノ山(1077m)のすぐ隣のピーク1075m峰を「カルルス山」(※こちらは国立公園外)とし、登山道の開削と標柱の設置を行ないました。

また、バケモノ山は登別市最高峰となっています。

カルルス氷筍洞窟とは

北海道登別市カルルスにある、昔の鉱山跡の洞窟に、たくさんの氷筍(ひょうじゅん)が見られるスポットです。

氷筍とは逆向きに出来るつららの事で、洞窟内の天井から落ちた水が、地面に当たると同時に凍って、このように地面から筍(タケノコ)のような氷の柱が形成される現象です。

アクセス

オロフレ峠駐車公園が広く除雪されていたので、ここに車を停めてスタートしました。

夏はトイレもありますが、冬は閉鎖されています。

入山前のトイレは、登別側から来る方はGoogleMAP上では「雨量観測所」となっている箇所に広い駐車場と冬でも使える公衆トイレがあります。

また入山口へ向かう道道2号線は冬季夜間通行止めで、解放されるのが9時~17時の間となりますので、ご注意下さい。

下山口はサンライバスキー場になります。

GPSログ

標高差登り約300m、下り約730m、歩行距離8.2㎞、所要時間5時間15分(休憩込み)でした。

下りメインなのでとても歩きやすいコースです。

登山道の様子(取材日:2022/1/25)

道路のおかげで、標高約800mから登り始めです。

まずバケモノ山(標高1077m)に向けて、標高差300m程を登っていきます。

登り始めてしばらくすると、オロフレ峠へ向かう冬季通行止めの道路が現れます。

オロフレ峠方面へ歩いたトレースも見かけました。

この日は少し雲がかかって、オロフレ山は雲の中でした。

ダケカンバの森の中、1058mピークが見えてきました。

青空の中、気持ちの良い稜線歩きが続きます。

このオロフレ峠付近は樹氷が有名で、この日も真っ白な雪が付いたダケカンバの樹氷群がとても綺麗でした。

樹氷について詳しく知りたい方は下記リンクを御覧ください。

【樹氷(じゅひょう)/霧氷(むひょう)とは?】形成の条件など解説冬に見られる自然現象で、霧氷(むひょう)をご存知でしょうか? 主に冬の山で見られる現象で、季節限定の絶景を楽しませてくれます。 ...

青空と樹氷、素晴らしい取り合わせです。

このオロフレ山系では、海からの湿った空気が山の斜面を登っていき、雨雲が良く発達する事で知られています。

特にカルルス地区は年間降水量が多く、2021年度は2592mmと道内でもトップクラスの雨量の多さとなっています。

参考値として、2021年の札幌市の年間降水量は1089mmと、カルルスの半分以下の雨量となっています。

ダケカンバの隙間から、洞爺湖がちらっと見えました。

夏に歩くとほとんど展望の無い登山道なので、景色が見えるのはとてもありがたいです。

ダケカンバの樹氷の中を進んで行きます。

ようやくバケモノ山が見えてきました。

写真左がバケモノ山(1077m)、右が1058mピークです。

枝に付いた樹氷がとても重そうで、「しだれダケカンバ」と呼びたくなるような光景があちこちに広がっています。

登って来たオロフレ峠方面を振り返って。

まだオロフレ山ピークは雲に隠れています。

1058mピークは登る必要が無いので、トラバースしてバケモノ山頂へ進んで行きます。

密生したダケカンバの隙間を縫って進み、バケモノ山山頂へ到着です。

真っ白な樹氷と青空に映える、大きな黄色い山頂看板です。

山頂からは来馬岳方面へ稜線を少し進み、そこから沢の方へ下っていきます。

途中、真っ白な冬毛のエゾユキウサギに遭遇しました。

素早い逃げ足で写真は撮らせてくれませんでしたが、足跡が少し乱れているのが面白いですね。

少し下山して振り返って見たバケモノ山の山頂看板。

こちらの来馬岳側の稜線からは遠くからでも良く目立ちそうです。

山頂から少し下山方向へ進んだ位置で、展望の良い場所がありました。

室蘭岳とカムイヌプリが綺麗に見えています。

室蘭岳とカムイヌプリの間、もしかして地球岬が見えるのか!?と思いましたが、室蘭駅の西に位置する測量山(そくりょうざん)でした。

この写真だと少し分かりにくいですが、山頂の鉄塔群がアップにすると確認出来ます。

室蘭岳(鷲別岳)の稜線もすっきり綺麗に見えています。

室蘭岳の右手に見えるのが、最近登る人が少し増えてきた四等三角点の西鷲別(804.3m)と、標高772ピーク(※通称黄金岳)です。

室蘭岳が室蘭市と登別市の境界、西鷲別が伊達市と登別市の境界、黄金岳は完全に伊達市内の山となっています。

黄金岳の右手に、稀府岳(まれっぷだけ)も見えました。

一番奥に見えているのが標高1040mの来馬岳(らいばだけ)です。

今度は冬に来馬岳の縦走をやってみても面白そうです。

登別温泉方面の展望も綺麗に見えています。

アップにするとこんな感じです。

倶多楽湖(くったらこ)と、その外輪山の窟太郎山(くったろうやま)が良く目立ちます。

四方嶺(しほうれい)は、山頂直下までロープウェイが運行しており、有名な登別クマ牧場があります。

橘湖(たちばなこ)は少し湖面が見えるかと思いましたが、残念ながら見えませんでした。

景色を楽しんだら、次はカルルス氷筍洞窟を目指して下っていきます。

標高差で500m程の楽しい下りです。

オロフレ山にかかった雲が少し取れてきました。

しばらくは展望を見ながら楽しい下山です。

ここはスキーやボードでも楽しそうな斜面です。

ようやく雲が綺麗に取れたオロフレ山(1230.7m)です。

下山方向に加車山(897.5m)が見えたので、進む方向の良い目印になりました。

林道に合流すると、まもなくカルルス氷筍洞窟へ到着です。

洞窟の入口は広くなっています。

規模はあまり大きくありませんでしたが、背の高い氷筍(ひょうじゅん)が育っていました。

通称にょろにょろと呼ばれている氷筍です。

細長いのから、太いのまで様々な物が見られました。

少し洞窟内に入って撮影です。

足元が凍っているので、慎重に歩いていきます。

短い動画を撮影しました。

洞窟内に川が流れているので、少し音量がうるさめなのでご注意ください。

帰路は林道をだどって、サンライバスキー場へ向かいます。

林道の途中、「中間地点」の看板が設置されていました。

所々みかけた導水管埋設の看板。

山から水をスキー場に引いているのでしょうか。

スキー場のコースへ合流したらまもなく終点です。

スキーヤーの邪魔にならないように、少しだけコースを歩いて終了です。

サンライバスキー場からはタクシーでオロフレ駐車公園まで戻りました。

【室蘭ハイヤー登別配車センター】
℡:0143-80-3666

料金は小型タクシーで2710円でした。

まとめ

  • 登りが少なく、下りメインで楽しいコース。
  • 樹氷と氷筍が一度に楽しめる(※厳冬期1~2月)
  • スタートの標高が高いので、防寒対策必須。

また余談ですが、スキー場の方とお話したのですが、氷筍洞窟を見に行く事に関しては特に関与しないとの事でした。

とはいえ、サンライバスキー場の駐車場を利用する形になるので、邪魔にならないように駐車して、コース内を一部歩く必要があるので、コースの脇を歩きましょう。

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