コロナ禍が長期化し、屋外のレジャーとして『登山』へ興味を持った方も少なく無いと思います。
そんな中、登山を始めてみたいと思っても、どうやって始めたら良いか分からない方も多いと思います。
- どんな装備や服装を揃えたら良いのか?
- 一緒に登ってくれる人がいない
- どの時期にどの山から始めたらいいのか?
- 興味はあるけど、山登りは体力的に大変そう
上記のように様々な疑問や不安が出てきてしまい、なかなか一歩を踏み出せない方もいると思います。
この記事では、登山初心者の方に向けて、服装や装備、始め方など基本的な事を解説していきたいと思います。
※長い記事なので、下の目次から気になるページに飛んでください。
もくじ
登山に必要な装備
登山を始めるにあたって、最低限必要な『三種の神器』と呼ばれているのが下記の3点です。
- 登山靴
- レインウェア
- ザック
最低限この3種類を選べば登山をする事が出来ますが、それだけに登山をするにあたって重要な役割をしてくれる装備です。
購入する際は失敗しないように、あらかじめ予習をしてから買いましょう。
登山靴の選び方
登山をするという事は、舗装されていない山道を長時間歩く事になります。
その為、足を保護し、疲労を軽減してくれる登山靴選びはとても重要です。
初心者用の登山靴と言うものは無く、登山靴は用途によって種類が分かれています。
- ローカット⇒ハイキング、整地された里山向け
- ミドルカット⇒一般的な日帰り登山、整備された登山道向け
- ハイカット⇒岩稜帯歩きやテント泊縦走など向け
最初の一足はミドルカットの登山靴を買うと対応できる幅が広いので、オススメです。
ローカットの登山靴はハイキング程度でしか使えないので、本格的な登山へステップアップしたいと思った際にまた新しい登山靴を買う必要が出てきます。
最近ではトレイルランニング用のローカット登山靴が増えてきていますが、こちらも初心者の方には向いていません。
またソールの固さも気を付けて欲しいポイントです。
一般的に、ローカットの方がソールが柔らかく、ハイカットの方がソールが硬くなります。
日常生活の舗装路であればソールは柔らかい方が歩きやすいのですが、不整地の山道ではソールが固い方が安定感があります。
ソールの固さはモデルによって違いがあるので、初心者の方はソールの固さが中程度の物を選びましょう。
次に、実際に購入する際のポイントをまとめました。
- 足が浮腫(むく)んでいない、午前中に試着するべき。
- 実際に登山用品店で、店員さんと相談しながら決めましょう。
- 通販やネットでの購入は厳禁
朝ベットから起きて立ち上がると、二足歩行の人間の足裏には体重がかかります。
時間が進むにつれて、徐々に足裏の土踏まずがつぶれてきてしまうので、土踏まずのアーチが綺麗な状態で保たれている午前中に買うのがベストです。
また普段履きの靴よりもサイズ選びが重要なので、登山の際に履く靴下と合わせて、登山用品店で試着しましょう。
ネットや通販で購入する場合は、一度使った事のある同じ靴の場合以外はオススメ出来ません。
レインウェアの選び方
平地と違い、山の天気はとても変わりやすく、登山の際にレインウェアを携帯するのは必須です。
過去には真夏の北海道で、悪天候で低体温症になって死亡してしまったケースもあります。
次に、レインウェア購入の際のポイントをまとめました。
- 迷ったらゴアテックス素材のものを買おう
- 上下セパレートタイプが必須
- 少しサイズに余裕のあるものを選ぼう
レインウェアは価格差が非常に大きく、どれを買っていいか迷う所ですが、性能面で間違いないのが「ゴアテックス」素材を使ったものです。
ゴアテックスは防水透湿機能が優れていて、外からの水は通さず、中からの汗や蒸れを外へ逃がす事が出来ます。
また登山では、寒い時にレインウェアの上だけを着る、朝露に濡れた登山道を歩く時にレインウェアの下だけを履く、といった場合があるので、上下セパレートタイプが必須です。
100円の雨合羽やポンチョタイプだと、足元だけ濡れてしまう場合があるので避けましょう。
また後述するレイヤリングにもかかわる所ですが、重ね着して着用するので、あまりピッタリすぎるサイズを買うと、中に防寒着などが着れなくなる場合があります。
レインウェアで一番耐水圧が高く、コストパフォーマンスが良いのが、モンベルの「ストームクルーザー」です。
かなり人気のモデルなので人と被るのがデメリットですが、値段の安さと性能の高さが魅力です。
ザックの選び方
ザックは登山中に必要な水や食料、防寒着などを持ち歩くために必要な装備です。
選ぶ際に一番重要なポイントは、体にフィットするかどうかです。
背面長(首の下あたりから腰骨の長さ)が合ったものを選ぶ必要があるので、実際に登山用品店で店員さんと相談しながら決めましょう。
荷物が重くなると、体に合わないザックを使っている場合はより重く感じ、バランスも悪くなります。
選ぶサイズの目安は下記の通りです。
- 日帰り登山⇒25L~35L
- 山小屋泊⇒35L~50L
- テント泊⇒50L~80L
初心者が最初に買うべきサイズは25Lから35Lの物が、一番使い勝手が良いです。
大きすぎるザックを買うと、中がスカスカでバランスが悪くなります。
登山経験が増え、徐々に装備が充実してきたら大きいザックを買いましょう。
また初心者の方は、ザックカバーが内蔵されているタイプがオススメです。
ザックカバーとは、雨が降った際にザックにかぶせて使うものです。
登山に必要な服装
登山中は、登っていると体が暑くなり、稜線に出て風に当たると寒くなったり、と体感温度が状況によって変わります。
その為、登山の服装は体温調整をしやすいようにレイヤリング(重ね着)を考える必要があります。
季節によってもレイヤリングは変わりますし、体感温度には個人差もあるので、ある程度登山での経験値が必要になってきます。
基本は、ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーの3層での重ね着になります。
ベースレイヤー
ベースレイヤーは一番内側に着るもので、速乾性が重要となります。
その為、乾きにくい綿素材やレーヨンなどは厳禁で、主にポリエステルやウール、それらの混紡素材が使われています。
夏の暑い時や、登りで汗をかく場面ではこのベースレイヤーだけで登る場面も多いです。
登山では暑ければ脱ぎ、寒ければ着る、という事を状況に応じて繰り返していきます。
ベースレイヤーは基本的に脱げないので、真夏に冬用のベースレイヤーを着ると体温調整が出来なくて大変です。
ミドルレイヤー(中間着)
このミドルレイヤーは、「行動着」と「保温着」に分かれます。
行動着は文字通り着ながら動くことを前提としており、山シャツや薄手のフリースなどになります。
保温着は主に保温する事に重きを置いており、ダウンジャケットや化繊のジャケットなどで、主に停滞時や休憩時、山小屋などで使います。
登山初心者はまず行動着があればOKです。
保温着はあると便利ですが、夏山では寒ければレインウェアを着れば寒さはしのげるので、余裕が出てきたら買いましょう。
アウターレイヤー
強風や雨から身を守る為に着るのがアウターレイヤーで、レインウェアがアウターになります。
レインウェアは雨の時だけなく、強風からも身を守ってくれる重要な装備なので、天気の良い日でも必ず携帯しましょう。
初心者の方は、ある程度装備が充実してきたら「ウィンドシェル」も購入候補になります。
レインウェアと違って防水性はありませんが、より軽量でしなやか、また透湿性に優れているので、プラスアルファのもう一着で購入を検討するのも良いと思います。
どこの山に登るか?オススメの季節
初心者にオススメの時期は、登山道に雪が無く、気候的に涼しい春と秋が登りやすいです。
夏は低山だと暑いのですが、標高の高い山は比較的涼しいので、ロープウェイでアクセスできるような初心者向けの山を探すと良いでしょう。
いきなり有名な高山へ登る事はせず、最初は登り1~2時間程度の山から選びましょう。
春は山野草が咲き、秋は紅葉が綺麗で、登山の魅力を感じやすい時期です。
また初心者は人の多い山に登る事も重要です。
東京であれば高尾山、札幌であれば藻岩山など、市街地近郊で人の多い山を探しましょう。
人の多い山は案内標識が充実しているのと、登山者が多いので道迷いや遭難のリスクが少ないです。
このような人の多い山であれば、初心者がソロで登るのにピッタリです。
誰と登るか?登山の始め方
ソロで登るのが好きな方もいれば、誰かとおしゃべりしながら登りたい人もいます。
登山でペースの合わない人と登るのは、なかなかストレスがかかるものです。
ですが、高山や難易度の高いルートではグループで登る事が多く、他人に合わせるという事も登山での大事な技術の一つです。
登山デビューとしてオススメなのは、旅行会社の登山ツアーに参加する事です。
私も元旅行会社勤務だったので、参加者を見ていると1人参加の方が多く、他の参加者とも仲良くなりやすいです。
どこの山が楽しかったとか、装備や経験など他の参加者と話す事で、ソロ登山では手に入らない、たくさんの有益な情報に触れる事が出来ます。
また日程もたくさん設定されているので、自分の都合に合わせて参加する事が出来るのも魅力でしょう。
登山に必要な天気予報の確認
登山者にとって、天気予報の確認は必ず必要な準備になります。
初心者の方が確認しやすい天気予報サイトは、以下の通りです。
てんきとくらす(てんくら)は、実際に行きたい山の天気予報を調べる事が出来ます。
精度がイマイチという話もありますが、風を見るのにはピッタリのサイトです。
日本気象協会さんのtenki.jpはメジャーな山の天気を調べる事が出来ます。
登山で一番注意する必要があるのが、「風の強さ」です。
雨降りでも風が無ければ問題無いですが、風が強いと一気に体温を奪われます。
またある程度の経験者向けですか、私は下記の天気予報サイトを使っています。
天気予報を読み解く力も、登山の技術の一つになります。
登山に行く前には天気予報を確認し、実際はどのような天気だったかを体験する事が大事です。
登山・ハイキング倶楽部では、登山ガイド・森林インストラクターの橋本竜平がご案内する、会員制のガイドツアーを実施しております。
顔が見える範囲の少人数制で、自然を楽しみながら歩くことを目的として立ち上げた倶楽部です。
もしよろしければ、一緒に山歩きを楽しんでみませんか?