自然観察・コラム

雪崩の生存率がどれぐらいか知っていますか?

雪崩の死因

雪崩に巻き込まれた際の死因は、ほとんどが窒息死外傷です。

特に、窒息は全体の約7割を占め、その他約3割が外傷、低体温症は数%未満になります。

つまり雪崩に巻き込まれた際に生き残るには、呼吸が一番重要な要素になります。

時間経過と生存率

雪崩に遭った際の生存率は、埋没時間が18分で91%35分経過すると34%まで低下します。

一般的には雪崩の救出は生存率の高い15分以内が理想的です。

生存率が急激に落ちる35分以内だと、3割程度の生存率しかありません。

ヘリを呼んでも、この短時間に来ることは不可能なので、現場でのコンパニオンレスキューがいかに重要かがわかります。

出典:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0175877

上のグラフは、縦軸が生存率、横軸が埋没時間(分)を表しています。

最初のファーストドロップ(35分)の次に生存率が落ちるのが埋没時間90分で、これは低体温症による死亡と言われています。

埋没時間が90分経過してくると、あまり生存率に変化が無くなるのは、低体温時は酸素の消費量が下がるからと推測出来ます。

体温が30度まで下がると、脳酸素の消費量は60%程度になると言われています。

埋没状況と生存率

・部分埋没or埋没なしの場合(全体の66.4%)
生存:96.7%
死亡:3.3%

・完全埋没の場合(全体の33.6%)
生存:51.4%
死亡:48.6%

完全埋没とは、頭が雪の中にある状況のことです。

完全埋没の状況だと自分自身では身動きも取れず、ほぼ半分の確立で死亡事故につながってしまいます。

このデータから見ても、如何に完全埋没を防ぐかが重要になります。

埋没の深さ

出典:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0175877

上の図は、縦軸が雪崩の件数、横軸が深さを表しています。

全体の約50%が、150cmまで埋まっていたことが上のデータから分かります。

雪崩のリスクマネジメント

先ほどまでのデータを踏まえ、雪崩に遭った際の生存率を少しでも上げられるようにしましょう。

単独行より、可能な限り仲間と滑りに行きましょう。

一番重要な窒息対策

もし雪崩に巻き込まれてしまったら、両手で口の周りを覆い『エアポケット』を作りましょう。

エアポケットがあるか無いかで、生存率が大きく変わってきます。

近年はアバランチトランシーバーの性能も上がってきているので、仲間がいれば見つけてくれる可能性が高いです。

埋没対策

完全埋没では約50%の死亡率になるので、如何に埋没しないかが大切です。

絶対に埋没しないわけでは無いですが、近年発売されているエアバッグ付きのザックはとても有効になります。

エアバックが膨らむことで、完全埋没のリスクを下げてくれます。

またアバランチトランシーバー(雪崩ビーコン)も、バックカントリーには必須です。

マムートやBCA、ピープスなどいくつかのメーカーのものがあります。

まとめ

定期的に雪崩の講習会が各地で開催されているので、定期的に参加しておくことをお薦めいたします。

自分自身の雪崩の知識や、レスキュースキルを確認するいい機会になります。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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