チングルマは亜高山~高山の湿地やれき地に生える草状の落葉低木で、北海道の山では良く見られる代表的な高山植物です。
特に群落状になることも多く、大変見ごたえのある高山植物の代表種です。
今回は登山初心者にはまず一番に覚えて欲しいこの「チングルマ」を解説したいと思います。
チングルマの特徴
草のように見えますが低木で、枝は地面を這って広がり、大きな群落になることもあります。
チングルマは亜高山以上の標高の高い場所に生えるので、風の影響を受けにくいようにマット状に広がります。
花の径は2.5cmほどで、花びらは5枚。
花期は6月~8月、大雪山ではとてもポピュラーな植物で、登山中も良く目にすることができます。
葉は羽状複葉(うじょうふくよう)と呼ばれる、鳥の羽のような形をしています。
葉のふちには鋭い鋸歯(きょし)と呼ばれる細かい切れ込みがあり、やや光沢があります。
花が終わると羽毛状になった雌しべが残り、これがチングルマの果実になります。
この果実の様子が、子どもが持つ風車に見えることから、稚児車(チゴグルマ)⇒チングルマと転じてつけられたとされています。
秋には鮮やかな赤色に紅葉し、森林限界以上では草紅葉の主役になることが多いです。
以上のように、⓵花の時期、⓶果実の時期、⓷紅葉の時期と、1年に3度楽しませてくれる花として、たくさんの登山者から愛されています。
チングルマの咲く風景
チングルマの群落で一番有名なのは、大雪山 旭岳の中腹にある『裾合平(すそあいだいら)』でしょう。
おそらく日本最大級のチングルマの群生地です。
花期は7月20日~下旬ごろが見ごろの印象ですが、事前に旭岳ロープウェイさんのHPなどで情報収集してから行くのが確実かと思います。
こちらは日本海側の暑寒別岳(しょかんべつだけ)のチングルマです。
とても花の多く大好きなコースですが、ブヨが多く、虫よけネットは必須の場所です。
当ブログのトップページの画像に採用している、愛別岳のチングルマです。
愛別岳の急斜面に咲くこの場所のチングルマは、『THE高山植物』という感じがして、とても印象に残っています。
皆で一斉に太陽の方に向いているような、チングルマのお花畑です。
まだ登山を始めて間もないころに、通りすがりのおじさんから、
『高山植物を撮るなら、空を入れなきゃダメだ。真上から撮ったら平地の花と変わらん。』
といきなりアドバイスされて撮影した思い出の1枚です。
化雲岳(かうんだけ)直下のチングルマ群落です。
私自身は山の仕事をしている事もあって、チングルマの群落は見慣れた光景ですが、ここのチングルマのお花畑を見た時には心を奪われました。
ちょうど咲きたてのフレッシュな状態のお花畑で、背後にトムラウシ山が見えるという最高のロケーションでした。
一見、普通のチングルマに見えると思いますが、ちょっと変わった場所に咲いていた個体です。
実は、標高約120mの低地に咲いていたチングルマで、5月27日に撮影しました。
普通は亜高山以上の標高の高いエリアに咲くチングルマですが、道北という事と蛇紋岩地という事が影響したのでしょうか。
果実の時期に、強い風に吹かれて揺れるチングルマも綺麗な光景です。
背後にそびえているのは、トムラウシ山。
まもなく初雪の便りが届く頃のチングルマ群落でした。
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