植物図鑑

オオウメガサソウ「北海道の花」

北海道の千歳市の森にあるオオウメガサソウの自生地を尋ねました。

とても可愛らしい山野草で、大好きな花の一つです。

オオウメガサソウとは


名称:オオウメガサソウ(大梅笠草)
学名:Chimaphila umbellata
分類:ツツジ科 ウメガサソウ属

国内の分布は、北海道と、本州(茨城県、岩手県、青森県)の太平洋側。

海外ではヨーロッパ、アジア、北アメリカの周極地方に広く分布しています。

常緑の草状の小低木で、地下茎が長く這い、そこから地上茎が直立するように生えています。

名前の由来

ウメガサソウに似て、より大型な事からオオウメガサソウ(大梅笠草)の名前がつきました。

大きいと言ってもオオウメガサソウが10㎝~15㎝、ウメガサソウは5㎝~10cmなので、大きな差があるわけではありません。

オオウメガサソウの特徴

花は1茎に3~6個つき、花色は淡紅色~白色です。

花は開花時には下向きに咲きますが、徐々に上を向いていきます。

花のアップです。

花弁は5枚で、円く御椀型の可愛い形をしており、先端はちぎれたように浅く細かいギザギザがあります。

雄しべは10個、花糸(かし)は内側に反り返るように丸まり、その先に茶色い葯(やく)が付いています。

この葯には、花粉を出す穴があり、孔開葯(こうかいやく)と言います。※旧イチヤクソウ科に共通する特徴です。

オオウメガサソウは上から見ても素敵です。

花弁の裏側のほんのり色づいた紅色がとても綺麗です。

アップで見てみましょう。

がくは5個で、花弁と互生するような位置についています。

花柄の付け根は、子房が突き抜けたようにも見える緑色ですね。

写真にはまだ開花していない蕾も映っていますが、これも真ん丸な球体状で素敵です。

開花したては下向きに咲きますが、徐々に上を向いていきます。

後ろに映っている茶色い球体状のものは、昨年の果実の残りですね。

こちらも昨年の果実の残りです。

5室からなる蒴果(さくか)で、風散布で微小な種子を飛ばします。

葉は倒披針形で粗い鋸歯があり、光沢と厚みもあります。

鋸歯は根元の方にはつかないのが特徴です。

7月中旬に千歳市で撮影した「オオウメガサソウ」の群生地。

分布の南限にある茨城の「ひたち海浜公園」では特別保護区で期間限定公開されているようですが、北海道ではこの場所のように、道路脇の林の中で見られる場所もあります。

6月中旬、花期より3週間程前同じ群生地の写真です。

オオウメガサソウは長い地下茎を持ち、そこから分岐して地上茎が直立します。

上の写真で群生している花は、地下茎でつながっているという事になります。

蕾の時期は赤色が濃くてまた違った雰囲気があります。

苞(ほう)は線形~狭披針形であまり目立ちません。

ウメガサソウとの違い

近似種にウメガサソウがありますが、主な違いは以下の通りです。

  • ウメガサソウは葉先が尖り、基部まで鋸歯がある
  • ウメガサソウは1茎に1つの花しかつけない
  • ウメガサソウはがく片が長い

一番分かりやすい違いが葉の形状です。

ウメガサソウの葉は先がとがり粗い鋸歯が根元までついています。

花は基本一つの茎に一つですが、まれに2つ付ける個体もあるそうです。

オオウメガサソウのがく片はとても短く、花弁の四分の一程度ですが、ウメガサソウのがく片は花弁の後ろからはみ出る程度の長さがあります。

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