登山ガイド

【十勝岳】新得コースから望岳台へ縦走

企画したツアーで十勝岳を縦走してきました。

天気に恵まれて雪景色も楽しめたので、思い出に残るツアーになりました。

十勝岳とは

十勝岳は標高2077mの山で、十勝連峰の最高峰です。

近くの山々の中では最も火山活動が活発な山で、歴史に残っている噴火が5回あります。

また日本百名山にも選ばれており、北海道外からも多くの方が登りに来る人気の山となっています。

名前の由来

十勝川(トカプチ)の源流に位置している事が名前の由来となっています。

一般的な登山ルートは上富良野町側なので、山を始めた頃は違和感を持っていましたが、由来を聞くと納得できますね。

アクセス

【新得コース登山口】

道道718号線をトムラウシ温泉方向へ進み、曙橋から左折してシートカチ支線林道へ入っていきます。

登山口までのアクセスは台風による災害で、2016年からアプローチが変わっており、曙橋から登山口まで約18.5㎞の長い林道の運転を強いられる事になりました。

分岐には案内看板が設置されているので、迷う事は無いと思います。

曙橋から登山口まで約1時間かかります。

駐車スペースは少なく、登山口の手前に3~4台ほど。

林道の状況は北海道森林管理局のサイトで確認してから向かいましょう。

別リンク:北海道森林管理局

【望岳台】

十勝岳の最も一般的な登山ルートが、この望岳台(ぼうがくだい)です。

広い駐車スペースに加え、トイレや靴洗い場、防災シェルターなどがあります。

GPSログ

登りは新得コースから。

標高差約1165m、約8㎞のコースになります。

ツアーのペースで、登り4時間55分(休憩込)でした。

下りは一般的な望岳台へ。

標高差1150m、約5㎞ほどのコースです。

ツアーのペースで、下り2時間40分(休憩込)でした。

登山道の様子(21/10/7)

曙橋から1時間程の林道ドライブで、標高915mの登山口からスタートです。

入林ボックスはありますが、お手洗はありません。

火山に多いアカエゾマツに登山口の看板が取り付けられていました。

笹の多いコースですが、広く刈られており、快適に歩くことが出来ました。

ハイマツのトンネルを歩いていきます。

ハイマツの切れ目から、白く冠雪したオプタテシケ山が見えました。

そのお隣には風格のあるトムラウシ山の姿も。

沢沿いの紅葉と雪化粧した山肌がなんとも素敵な光景でした。

写真を撮りながらゆっくり歩きました。

十勝川の支流に沿って進んで行きます。

渡渉は3回あります。

最後の渡渉ポイント。

写真では分かりにくいですが、「一条ノ滝」が奥にあり、登山道はその手前の左岸側から尾根に取り付きます。

この辺りから笹薮が濃く、少し難儀する場面がありました。

朝露で濡れていなかったのがラッキーでした。

もうお花の無い時期ですが、ここが「第1お花畑」。

第1お花畑の斜面を登っていきます。

徐々に植生が薄くなり、十勝岳らしい雰囲気に変わっていきます。

ここで展望が良くなってきたので、見えた山並みのご紹介です。

然別湖方面の山々。

ニペソツ山とウペペサンケ山は山頂部が白くなっています。

ニペソツ山から石狩岳です。

石狩岳のあたりをアップで見てみましょう。

少し見えにくいですが、沼の原山が見えており、その左の平坦地に沼の原があります。

オプタテシケ山とトムラウシ山はしっかりと雪化粧しています。

同じ十勝連峰ですが、主稜線から少し離れた位置にある下ホロカメットク山と境山。

標高が上がるにつれて、新得コースのハイライトとも言える荒涼とした風景が広がっていきます。

正面のピークは山頂手前の偽ピークです。

どこかの惑星に来てしまったかのような風景が広がっています。

コースを示す鉄の杭に「エビの尻尾」が出来ていました。

強風の時に氷や雪が付着して形成される現象です。

高度が上って寒くなってきたので、衣服調整も怠らないようにします。

雪が溶けて、粘土質の土壌が歩きにくい箇所がいくつかありました。

稜線が近づくにつれて雪が増えてきました。

登って来た新得コース側の風景。

紅葉の樹林帯から植生の少ない高山帯への移り変わりが良く分かります。

稜線に上がると初めて十勝岳の山頂が見えました。

ここまで登れば山頂まではあと少しです。

お客様が言っていましたが、

チョコチップ?
クッキー&クリーム?

のアイスのような山肌が広がっています。

積雪の薄いこの時期特有の景観ですね。

無事に十勝岳の山頂に到着。

ここにもエビのしっぽが育っていました。

山頂から見下ろす前十勝のもくもくとした噴煙。

荒々しい爆裂火口を持つ美瑛岳。

富良野岳方面もバッチリ見えました。

稜線続きには三峰山、上富良野岳、上ホロカメットク山があります。

新得コースを戻るのは長くて少し疲れるので、今回は最短ルートの望岳台へ下山します。

グラウンド火口付近から見上げた十勝岳。

冠雪しているのもあって、どこから見てもかっこいい山容です。

スリバチ火口の奥には美瑛岳(右)と美瑛富士(左)。

十勝岳避難小屋まで戻ってきたら、望岳台まではあと1時間弱。

標高が下がるにつれて紅葉が見ごろになってきました。

無事に望岳台へ到着。

この時期の穏やかな天候に感謝した1日でした。

まとめ

  • 個人的に新得コースが十勝岳のルートの中で1番面白い。
  • 新得コース上部は悪天候時に迷いやすいので、経験者と登りましょう。
  • 最終渡渉点から先に笹が一部濃い箇所あり。足元はしっかり見えています。

新得コースはぜひ一度は登って欲しいオススメのコースです。

最後まで御覧いただき、ありがとうございます。

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