自然観察・コラム

砥石山に咲く「赤いスミレ」

札幌市にある砥石山に源八沢コースから登った際に、見慣れない赤いスミレが咲いていました。

遠目から見た時はアケボノスミレ?ヒナスミレ?などと思いましたが、そもそも砥石山には分布していないし、色もピンクというより赤色でした。

写真だけ撮影して帰宅後調べてみると、赤花の「ニオイスミレ」という事がわかりました。

2025/5/17 砥石山

ニオイスミレの原産地は西アジアから南ヨーロッパで、通常の花色は紫なのですが、園芸品種で赤花のものも流通しているようです。

北海道の在来種だと「アオイスミレ」や「エゾアオイスミレ」の仲間で、①上弁がウサギの耳のように立つ、側弁は有毛であまり開かない、といった共通点も確認出来ました。

後から見た写真です。

花柄の毛が良く目立ちます。

距が短めでずんぐりしている、花柄に毛がある、がく片が大きいといった特徴が確認できます。

新葉は両側が丸まっているのが特徴で、葉の展開より花が早いのは「アオイスミレ」と共通しています。

葉が丸い円心形で、冬にも葉を落とさず越冬します。

托葉のふちには毛状突起が確認できます。

葉の両面には短毛があります。

個人的にはあまり得意ではないスミレ類ですが、細かく特徴を見ていくと「ニオイスミレ」と同定できました。

北海道でも外来種として野生化していますが、多くは道端や公園、林縁等で見られます。

今回問題なのは、この花が砥石山の山頂付近にあったという事です。

ニオイスミレの種子にはアリが好む「エライオソーム」という白い脂質に富んだ付属体があり、アリによって種子散布されます。

道端や公園であれば個人宅の庭から種子が運ばれる可能性もあると思いますが、流石に山頂まで運ぶのは難しいでしょう。

消去法で可能性が高いのは悪意を持った何者かが種を撒いたという事でしょうか。

札幌という人口の多い都市にある山の宿命なのでしょうか、登山愛好家にも色々な考えを持つ人がいます。

身近な所だと、昨年(2024年)は札幌市西区の三角山で「ヤマシャクヤク」が盗掘されたのも記憶に新しいですが、勝手に取る人もいれば勝手に植える人もいるという事です。

先日、関東の花好きの方から高尾山でも同じような問題があると聞きました。

盗掘はもちろんの事、勝手に自分の好きな花を植える人、元々自生していない花を植えて自分が第一発見者だと自慢する人、花の写真を撮るために他の植物を傷つける人、シーズン初めの開花写真を撮影した後に、他の人に写真を撮られない為に花を切り取ってしまう人など。

流石に人口の多い首都圏、なかなかの無法地帯となっているようです。

情報が手に入りやすいSNS時代に入り、承認欲求を拗らせた人達も増え、植物の世界に人為的な悪影響がこんなにも出てきてしまいました。

最初は見慣れない「赤いスミレ」を見つけて嬉しかったのですが、なんとも言えないモヤモヤした気持ちになる結果となりました。

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