元山・笹山・八幡岳 基本データ
元山(もとやま)、笹山(ささやま)、八幡岳(はちまんだけ)は道南の江差町(えさしちょう)の東側に連なる山々で、「江差三山」とも呼ばれています。
以前は登山の対象とされていたのは笹山だけだったのですが、2001年に元山と八幡岳を結ぶ登山道が開削されました。
【元山(もとやま)】
標高522.1mで、今回の三山の中では一番低い標高です。
海に近い位置にあるためか、山頂部は風衝草原となり、今回の三山の中では一番展望の良い山となっています。
【笹山(ささやま)】
標高611mで、山頂には道南五大霊場のひとつ「笹山稲荷神社」の社殿が建っています。
古くから住民達の信仰が篤く、登山道も良く整備されています。
【八幡岳(はちまんだけ)】
標高664.6mで、山肌は美しいブナ林に覆われています。
江差三山と呼ばれていますが、この山は厚沢部町(あっさぶちょう)と上ノ国町(かみのくにちょう)の境界に位置し、残念ながら江差町には面していません。
アクセス
グーグルマップでは途中までしか道と認識しないので、まずは「笹山稲荷神社の鳥居」まで向かいます。
笹山稲荷神社の左に、分岐する林道があります。
このサダサ川沿いの林道を約2.5㎞程、10分~15分程度走ると登山口に到着します。
この林道はやや悪路なので、あまりスピードが出ません。
GPSログ
登山道はぐるっと3山を縦走できるように付いております。
今回は赤線のルートをたどり、八幡岳⇒笹山⇒元山といった順番で反時計回りに歩きました。
歩行距離約10㎞、累積標高760m、約6時間程の行程です。(GPS計測なので誤差はご容赦下さい。)
また八幡岳への登山道の笹が少し濃かったので、手持ちの鋸で軽く整備しながら歩いたので、歩行タイムは参考程度で考えて下さい。
八幡岳の登山道は、以前は上ノ国側へ降りるルートがあったのですが、既に廃道状態になっていました。
登山道の様子(取材日:2020/11/17)
あまり広くない登山口、5台程度は駐車可能でしょうか。
この登山口を起点に、元山側への登山道と、笹山・八幡岳への登山道に分かれています。
入口には大きなMAPがあります。
八幡岳の上ノ国町側の登山道は、残念ながら廃道となっていました。
登山道の入口には紙垂(しで)が付けられていました。
笹山が信仰の山なので、ここから先は「神聖な場所」という境界線を教えてくれるものです。
わりと案内看板類は綺麗に整備されています。
登山口から標高差100m程登ると、尾根上の車道のような道に出ます。
また稜線上にはややこしい刈払い道があったので、迷い込まないように注意しましょう。
「笹山稲荷神社参道」の看板。
赤く綺麗に色づいた「ツルリンドウ」の葉と実がありました。
まだ道南には少し秋が残っています。
笹山の最短ルートの登山道と、八幡岳方向に向かう登山道との分岐点につきました。
赤い鳥居はペンキもすっかり剥げて、黄色になっています。
朽ちた鳥居もありました。
木々の隙間から、笹山の反射板と笹山稲荷神社の赤い社殿が見えました。
江差三山を繋ぐ主稜線へ到着。
こちらが八幡岳方面への分岐。
八幡岳の表記が全く無いのがややこしかったです。
この「下の沢」は上ノ国町側の八幡岳登山口ですが、既に廃道化しております。
既に葉の落ちた明るいブナ林を進んで八幡岳を目指します。
やや笹が濃い所もあったので、手持ちの鋸で軽く整備をしながら歩きました。
立ち枯れたブナの根元に「ツキヨタケ」を発見。
北海道では主に、ブナの天然分布がある黒松内以南でよく見られる「毒キノコ」です。
わりと誤食による中毒が多いキノコで有名ですね。
八幡岳山頂。
わりと狭く、看板も倒れていました。
山頂は樹林に覆われていますが、駒ケ岳方面の展望は良好でした。
分岐まで往路を戻り、次は笹山を目指します。
笹の上に、先ほど登った八幡岳が見えます。
笹山山頂には、「笹山稲荷神社」の社殿があります。
この神社からは、渡島大島(おしまおおしま)が良く見えました。
いつかこの島の最高峰の「江良岳(えらだけ)」には登ってみたいが、一般人にはなかなかハードルが高そうです。
元山への縦走路はこの階段を登って、左手に進みます。
稲荷神社(いなりじんじゃ)では、稲荷大神様の眷属がキツネなので、狛犬では無くてキツネになっています。
後ろには馬の象もいますね。
この社殿の後ろに大きい岩があって、そこが山頂と思われるのですが、この岩には登れません。
笹山は山頂看板が無いのが唯一の残念ポイントです。
元山への縦走路を進んで行きます。
元山は三山の中では一番海よりに位置し、風が強く吹く場所では笹原になっていました。
振り返って見上げた「笹山」。
所々見つけた朱塗りの「山」の文字。
アップダウンを繰り返しながら、元山山頂へ進んで行きます。
途中で見つけた「オオバクロモジ」の冬芽。
札幌近郊で見れないものを見つけるとつい嬉しくなってしまいます。
山頂へ向けての最後の登り。
反射板が見えてきたらまもなくゴールです。
元山山頂は、海に突き出た岬の突端のような風景でした。
吹き付ける風は冷たいですが、遮るものの無い素晴らしい展望台です。
なかなかの絶景です!
事前情報だと風力発電の風車が多く見られるはずでしたが、現在は撤去されたのか全くありませんでした。
またゴルフ場?放牧地?の名残りのような場所には馬が数頭いました。
アップにしてみました。
5頭ほど馬がいるのが見えるでしょうか?
これは野生馬なのか、放牧された馬なのか気になる所です。
ちょうど、江差から奥尻島へ向かうフェリーが見えました。
1日1往復しかしないフェリーなので、見られてラッキーでした。
山頂から見える山々の展望を解説していきます。
北側に大きくそびえるのは遊楽部山塊で、主要な山々が見えています。
また雄鉾岳(おぼこだけ)は、その代名詞といえる崖側斜面とは反対側から見ているので、印象が変わります。
雄鉾岳の東側には、乙部岳(おとべだけ)が大きく目立っています。
乙部岳の東側に進むと、道南の秘峰と呼ばれている狗神岳(ぐしんだけ)が目立っています。
反射板と重なって少し見にくいですが、駒ケ岳(こまがたけ)や砂原岳(さわらだけ)の頭が見えています。
二股岳は森町と北斗市の境界に位置する山です。
歩いてきた稜線上を振り返ります。
笹山とその左奥にしっかりと八幡岳も見えています。
南側には大千軒岳(だいせんげんだけ)や七ツ岳も見えました。
南西方向には上ノ国町(かみのくにちょう)の町と、風力発電の風車が良く目立っています。
少し分かりにくいですが、「夷王山(いおうざん)」や2級河川の「天の川」なども映っています。
登山口のある江差町側には、鴎島(かもめじま)が良く見えます。
小ぶりの陸繋島(りくけいとう)で、まさにカモメが羽を広げたような形をしています。
低山ながら、周囲の展望が素晴らしい山頂でした。
また季節を変えて再訪したいと思います。
往路を戻り、分岐から登山口を目指します。
少し急斜面もありますが、歩きやすい道です。
元山山頂からは40分程、あっという間に登山口に戻ってきました。
まとめ
- 八幡岳はブナ林が美しい、展望△、登山道はやや笹が濃い
- 笹山は登山道がしっかり整備され、山頂には稲荷神社があるが、山頂看板無し
- 元山は風衝草原が広がり展望◎。遮る木々が無いので、風が強い時は要注意
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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