コジマエンレイソウとは
名称:コジマエンレイソウ(小島延齢草)
学名:Trillium amabile
分類:シュロソウ科 エンレイソウ属
高さが30~60cmの多年草で、主に北海道の石狩地方以南で見られます。
個人的には函館山、星置緑地、伊達市善光寺、地球岬、小幌駅などで見た事があります。
本種の分布は北海道と樺太南部で、本州には分布していない事から、北海道を代表するエンレイソウの1種と言えるでしょう。
名前の由来
コジマとは、道南の松前町沖に浮かぶ「渡島小島(松前小島)」に由来しています。
2017年に北朝鮮籍の漁船が渡島小島に侵入して少し話題となった、あの島です。
エンレイソウの由来は、中国では漢名で延齢草根(えんれいそうこん)と言う薬草として使われており、エンレイソウ(延齢草)の名前がつけられました。
コジマエンレイソウの特徴
エンレイソウに比べて、やや草丈が大きく、花弁が赤いのが特徴となっています。
赤い花弁は0~3枚、がく片は3枚、葉っぱは3枚、雄しべは6個(3の倍数)と、とても「3」にこだわりを持っている花です。
これは他のエンレイソウの仲間とも共通する特徴で、エンレイソウ属の学名の、「Trillium」 は「3のユリ」を意味し、花、がく、葉が3枚になる事が由来となっています。
また生育地は、比較的海岸に近い所で多く見られる印象です。
横からみたコジマエンレイソウです。
上からみたコジマエンレイソウ。
この個体は花弁も3枚あり、比較的花弁の大きさも揃っていたので、綺麗な固体でした。
花弁の数が0個~3個
コジマエンレイソウの花弁は個体差が大きく、0枚のもあれば、1枚、2枚、3枚の個体も見られます。
また花弁の大きさや形状も不安定で、バランスが悪く見えるものもあります。
コジマエンレイソウの子房は普通緑色形ですが、上記のように子房が黒色の型も見られます。
種間雑種なのか
最初、どこかのネット記事で見た記憶が残っていて、「エンレイソウ」と「オオバナノエンレイソウ」との種間雑種が「コジマエンレイソウ」だと思い込んでいました。
が、いつも参考にしている梅沢先生の図鑑によると、エンレイソウ×オオバナノエンレイソウの雑種は「トカチエンレイソウ」との事でした。
ちょっとややこしいので、自分なりに調べて北海道のエンレイソウ9種を下記にまとめてみました。
基本の3種
- エンレイソウ
- ミヤマエンレイソウ
- オオバナノエンレイソウ
基本種3種との種間雑種
- トカチエンレイソウ(エンレイソウ×オオバナノエンレイソウ)
- ヒダカエンレイソウ(エンレイソウ×ミヤマエンレイソウ)
- カワユエンレイソウ(オオバナノエンレイソウ×ミヤマエンレイソウ)
- シラオイエンレイソウ(オオバナノエンレイソウ×ミヤマエンレイソウ)
古エンレイソウ属植物の雑種(と考えられている)
- コジマエンレイソウ
コジマエンレイソウも雑種由来ですが、古エンレイソウ植物に由来すると考えられているようです。
いずれにしてもエンレイソウの仲間は奥が深く、変異も多い事から見分けがややこしいです。
スプリングエフェメラルの1種
コジマエンレイソウは、春先に花をつけ、夏には地上部を枯らして、後は春まで地下で過ごすスプリングエフェメラル(春植物)と呼ばれる植物です。
スプリングエフェメラルとは、直訳すると「春のはかないもの」、「春の短い命」という意味で、「春の妖精」とも呼ばれています。
おすすめの山野草図鑑
北海道の草花 Wild Flowers of Hokkaido
著:梅沢 俊
北海道の植物図鑑では御馴染みの梅沢先生の図鑑です。
かなり大きめの図鑑ですが、網羅している植物数が多く、新分類体系APGⅢ,Ⅳに準拠しています。
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その他のエンレイソウ属の花
のんびりと記事が追加出来たらこちらに記載していきます。
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