登山の際に1番気になるのはやっぱり当日の天気です。
どんな山でも天気次第で、山の表情はガラッと変わります。快晴無風の優しい山行のこともあれば、雨&強風で厳しい山行を強いられる時もあります。人生と一緒で、良い時もあれば悪い時もある、それも登山の醍醐味の一つだと思います。
皆さんは登山の際の天気予報サイトはどちらを参考にされているでしょうか?
「てんきとくらす」や「tenki.jp」などが一般的だと思いますが、個人的にイチオシは「Windy(ウィンディー)」という天気予報サイトです。
他の天気予報と比べて優れている点や、登山に使える機能を今回はご紹介したいと思います。
こちらのサイトはアプリ版もあるので、スマホでも使いやすいのが特徴です。
Windy.com
Windyty, SE無料posted withアプリーチ
もくじ
こんな人におすすめ
Windyは多種多様な機能があり、慣れるまで時間がかかるため、万人向けの天気予報サイトとは言えません。
ただし登山道具と同様に、使いこなす楽しみがあるサイトだと思います。
登山初心者の方より、ある程度経験者の方にこそぜひ使って欲しいサイトです。
様々な予報を見る事が出来るので、稜線上の細かな風の予測や、山小屋からご来光が見られるか、冬山でウインドスラブが形成されているか・・・など、現地の様々な状況を予測する手助けをしてくれます。
Windyとは
チェコ発の天気予報サイトです。
Windyの素晴らしい所は、なんといっても風や雨雲、海流、PM2.5などが視覚的にわかる所だと思います。
特に風のアニメーションは一目で風の強弱がわかり、見た目の美しさもあって、眺めているだけでも楽しいサイトです。
利用前の初期設定
まずは日本人の私たちが使いやすいように、初期設定をしましょう。
左上のメニューから設定のタブをクリックして、以下のように設定しましょう。
・風⇒m/s
・気温⇒℃
・雨⇒mm
・波⇒m
・雪⇒cm
・気圧⇒hPa
・標高⇒m
アプリ版は画面右下にメニューがあり、下の方にスライドすると同じように設定画面があります。
等圧線の表示もしておきましょう。
画面右下に等圧線をON,OFF出来るタブがあるので、ワンタッチで切り替えが出来ます。
※アプリ版は画面右下のメニューに等圧線のタブがあります。
天気予報の見方
それでは実際の天気予報の見方にいきましょう。2通りのやり方があるので、ご説明いたします。
まず最初は検索窓に、行きたい山の名前を入れる方法です。
黒岳と検索窓に入れて、大雪山の黒岳の天気予報が出てきました。
3時間ごとの天気、気温、風速などが表示されました。
この他に地図上の任意の箇所で長押し(PCの場合は右クリック)すると、上記の写真のようなメニューが出てくるので、「この位置の予報」を押すと天気予報が表示されます。
こちらの方が汎用性が高く、例えば泊まる山小屋の天気や、ルート上の天気なども調べられるのでオススメです。
イチオシのMeteogram機能
天気予報の表示は、デフォルトだとベーシックになっていますが、下の赤いメニューからMeteogramに切り替える事が出来ます。
こちらではさらに詳細な天気予報を見る事が出来ます。
1.時間・・・3時間ごとの天気を表示。最大10日間分の天気予報を見る事が出来ます。
2.気温・・・気温表示です。露点と合わせて赤い線でも表示されているので、視覚的に分かりやすくなっています。
3.露点・・・露点温度は、空気が冷やされて凝結(気体⇒液体)が始まる温度の事です。簡単いうと、露点が高い⇒湿度が高い、露点が低い⇒湿度が低い、という事になります。欧米では湿度より露点の方が良く使われています。
4.風・・・登山の際の一番の敵は風です。風に関しては、後述する風のレイヤーで見る方が判りやすいので、ここでは参考程度にしましょう。
5.最大瞬間風速・・・文字通り、瞬間風速の最大値となります。
6.気圧・・・気圧が変わる際に数値で表示されています。
7.雲・雨・・・雲は灰色で表示され、濃い雲ほど真っ黒に表示されます。雲の高さが判るので、自分の行く山の標高と照らし合わせてみると分かりやすいです。
8.雨・・・通常の雨が青色で表示されます。
9.対流性降雨・・・大気が不安定な状態で降る雨で、紫色で表示されています。短時間に強く降る降雨で、雷を伴うこともあるので、登山の際は注意が必要です。
10.雪・・・降雪で、薄い水色で表示されます。主に冬山登山で役に立つ指標です。
11.クラウドベース・・・雲の最も低い所で、雲底(うんてい)とも言います。
天気予報の比較が出来る
天気予報を表示させた状態で、下の赤いメニューバーから「もっと読む」を押すと、「比較」というボタンが出てきます。
ここでは、3か所の天気予報を見比べる事ができます。
・GFS:NOAA(アメリカ国立気象環境予測センター)が提供している全球大気循環モデルです。
・ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)が提供している天気予報です。
・METEOBLUEはNCEP(アメリカ環境予測センター)とNOAA(アメリカ国立気象環境予測センター)が協力して、スイスのバーゼル大学で作られた気象予報です。
当たり前ですが、100%当たる天気予報はありませんので、1度に複数の天気予報を比較できる機能はとっても便利だと感じます。
※2021/2/16追記
天気予報の比較に新しく「ICON」が登場し、4種類の天気予報を見比べる事が可能になりました。
ICONとは、DWD(ドイツ気象局)が開発・運用している気象予報。Windyによると、非常に良い結果をもたらす最新の予測モデルの一つとの事。
登山に使える様々なレイヤー
Windyにはいろいろなレイヤーを切り替えて使うことが出来ます。
ここでは主に登山で使えそうなレイヤーをご紹介します。
風の強さ
登山で一番気になる風のレイヤーの見方です。このレイヤーが最も良く使うと思います。
まず最初に、画面右のレイヤー一覧から風を選択する。(アプリ版はメニューから風のレイヤーを選択)
次に標高をセットします。今回の場合は標高1984mの黒岳を調べるため、標高を地表から2000mへ変更します。(アプリ版はメニューから変更できます。)
最後に、調べたい地点で右クリック(アプリ版は長押し)して、「天気ピッカーを表示」を選択すると、その地点の風速・風向が表示されます。
紫色の線で、風がアニメーションで表示されるので、風の強さが視覚的に分かるのが特徴です。
この天気ピッカーを動かせば、その地点の風の強さを調べられるのでとても便利ですが、調べる場所を変える場合は、再度その地点に合わせて手動で標高を設定しなければならないので注意です。
雨・雷
レイヤーの「雨、雷」を選択すると、雨の降っている箇所や雷雲のある場所を見る事が出来ます。
このレイヤーの注意点は、地図を広域にしないと表示されないことです。
また風のレイヤー同様に、右クリック(または長押し)で天気ピッカーを表示させると、その地点の雨量を調べる事が出来ます。
風のレイヤーと違って、標高をセットする必要はありません。
森林限界以上の登山では、雷は特に注意する必要があります。
PM2.5濃度
数年前から話題のPM2.5も、レイヤーのラインナップに入っています。
見ての通り、中国本土付近は色が濃いですね・・・。
風向きなどでPM2.5の濃度は変わりますので、天気が良くても空が霞んでいる時はPM2.5が原因かもしれません。
その他、大気のレイヤーではNO2(二酸化窒素)、エアロゾル(気体中に浮遊する微粒子)、オゾン層、なども見る事が出来ます。
地図としても使えるベアリング機能
拡大表示をすれば登山道も表示されますが、各地点の方向・距離をデータ化してベアリング(道程表)を作成することが出来ます。
調べたいヶ所で右クリック(アプリは長押し)、「距離&プランニング」を押して、あとは任意の地点を押していくだけです。
距離は1㎞ごとしか表示されないのでイマイチですが、方位が簡単に調べられるのはとても良い機能だと思います。
画面上のlatはlatitude(緯度)、lotはlongitude(経度)を表してますが、登山では使いません。遭難時の救助要請で、ヘリコプターを呼ぶ際などは使えると思います。
スマホでベアリングを作成しておいて、画面キャプチャ―すればお手軽に使用できますね。
↓※2019年11月1日追記↓
アプリ版は従来通りですが、ウェブサイトではベータ版として、Elevation profile(標高グラフ)が表示されるようになりました。
標高グラフは登山のような短い距離だとグラフが見づらかったです。
この先の機能改善に期待ですね。
まとめ
ちょっとややこしい使い方のWindyですが、詳細な天気予報を知るにはとても便利なサイトです。
以下に、Windyの優れている所をまとめてみました。
・風・雨・雷・雲の位置が視覚的に分かる
・地図上の任意の場所の予報を調べられる
・3種の天気予報の比較ができ、10日先の予報も見れる
ここでは紹介しきれなかった機能もたくさんあるので、皆さんもお気に入りの使い方を見つけてみてはいかがでしょうか。
釣り人、パイロット、サーファー、パグライダーなど、たくさんの方から愛されているWindyのご紹介でした。
登山・ハイキング倶楽部では、登山ガイド・森林インストラクターの橋本竜平がご案内する、会員制のガイドツアーを実施しております。
顔が見える範囲の少人数制で、自然を楽しみながら歩くことを目的として立ち上げた倶楽部です。
もしよろしければ、一緒に山歩きを楽しんでみませんか?