登山ガイド

【乙部岳】晩秋の登山、義経伝説の残る地へ。

下見とお客様を連れての本番で、2回乙部岳に登ってきました。

今回は下見で登った際の写真を中心に紹介していきたいと思います!

なかなか展望の素晴らしい山で良かったです。

乙部岳とは

乙部岳(おとべだけ)は、乙部町と厚沢部町の境界に位置する標高1016.9mの山です。

山頂にはレーダー雨量観測所があるので、麓からでも大きな白いドームが目印となり、土地勘の無い方でも山頂を見つけやすくなっています。

ちょうど渡島半島の中心部に位置するので、渡島半島の北から南まで道南エリアの山々が一望でき、また噴火湾越しに道央圏・ニセコエリアの山々も望むことが出来ます。

登山道は尾根コースと沢コースの2本があり、また姫町峠から車道も繋がっています。

乙部町に残る義経伝説

乙部町には義経伝説が残っており、義経は江差から乙部を越えて寿都に向かったとされています。

乙部岳は別名九郎岳(※九郎判官義経より)の名前もあり、また登山ルートから少し離れた場所に九郎嶽社本殿があります。

追ってきた静御前が義経を待ったとされる姫町峠、乙部岳を源流に持つ2級河川の姫川など、義経伝説に由来する地名です。

アクセス

グーグルマップ上の九郎嶽社鳥居が尾根コースの登山口となり、広い駐車スペースがあります。

乙部町から道道1061号を通り、上記のポイントから北上して九郎嶽社鳥居へ進みます。

上記のポイントから登山口まで約5㎞、車で15分程度の林道走行になります。

GPSログ

尾根コースと沢コースが近い位置にあるので、登りと下りで使い分ける事が出来ます。

今回は沢コースから登り、尾根コースを下りました。

2つの登山口間も約400m、5分程度の距離なので、同じコースをピストンする意味があまりなさそうです。

途中には2つのコースを繋ぐ連絡路もありますが、あまり利用価値が無さそうな気がします。

登山道の様子(22/10/25)

沢コースの少し尾根コース側へ進んだ箇所の駐車帯に車を停めてスタートしました。

ちょうど昨年(2021年)に笹刈整備が入ったようで、とても歩きやすかったです。

義経伝説の残る行者洞(ぎょうじゃあな)が見えてきました。

中には看板と注連縄が。

身を清めるためにこの穴で一夜を明かしたそうです。

少しずつ空が明るくなってきました。

沢コースはルートが西側の谷沿いなので、しばらくは日が当たらず薄暗かったです。

渡渉が数回ありましたが、水量が少ないのでどれも問題無しでした。

連絡路の分岐にあった、地面にめり込むような低い位置にあった看板。

沢の源頭部からは急な尾根道を標高差で1000m程、稜線まで登ります。

もう花も実も残っていませんが、シラネアオイやキバナイカリソウの葉が見られました。

日の当たる稜線までもう少し!

なかなか悪路の箇所もあって、堪える登りが続きます。

徐々に樹林が切れてきて、冷水岳や遊楽部岳などの雪化粧した山々が見えてきました。

南に目を向けると、大千軒岳や七ツ岳など、松前半島の主峰達が見えてきました。

次第に高度を上げると、そびえたつ岩峰「天狗岩」が見えてきました。

日本海が綺麗に見えてきました。

写真右奥には奥尻島が写っています。

奥尻島をアップで。

天狗岩の近くまでやってきました。

笹刈されていてとてもありがたいのですが、トラバース気味の道はとても滑りやすく、油断できません。

天狗岩の横まで登ってきました。

尖った岩峰かと思いきや、意外と奥行きがありました。

噴火湾の向こうには、羊蹄山や道央圏の山々が見えています。

稜線まで来たら、ほぼ山頂まで来たようなもので、後は尾根伝いに山頂を目指します。

紅葉が残っている斜面と終わっている斜面がはっきりわかって面白い風景です。

写真左奥には駒ヶ岳が見えていますがわかりますでしょうか??

アップにしてみました。

駒ヶ岳と砂原岳(さわらだけ)は良く目立つので、山座同定の良い目印になります。

手前の良く目立つ岩山は、道南の秘峰と呼ばれる狗神岳(ぐしんだけ)です。

乙部町の向こうには、渡島大島(松前大島)が見えました。

最高峰は江良岳(732m)で、結構高さのある島です。

厚沢部町側には、江差三山の元山、笹山、八幡岳が良く目立ちます。

その奥には七ツ岳、大千軒岳、木無山が見えています。

まだ山頂手前ですが、展望が良くてなかなか前に進みません。

ようやく白いレーダードームのある乙部岳山頂が見えてきました。

渡島半島の北側の展望が見えてきました。

雪化粧して良く目立っているのは狩場山と大平山で、渡島半島の北端のあたりです。

大きな砂蘭部岳と、その手前に小鉾岳が重なって見えています。

遊楽部岳から冷水岳、白水岳は距離も近いので、大きく見えていました。

雄鉾岳は岩山で険しいイメージがあるかと思いますが、こちら側から見ると崖斜面が見えず、山頂部の双耳峰が目印になります。

尾根上も綺麗に笹刈されています。

乙部岳の山頂に到着しました。

噴火湾の向こう側には、室蘭岳から漁岳まで見えています。

恵庭岳や漁岳は現地では分からなかったのですが、地図で確認するとちょうど直線上に高い山が無く、はっきり見える事がわかりました。

七飯町の横津岳は広い台地が広がっており、こちらも山頂部にレーダードームがあるので道南では見つけやすい山の一つです。

また横津岳の斜面には、七飯スノーパークのスキー場が拓かれています。

北斗市の低山も見えています。

当別丸山と桂岳は北斗市と木古内町の境界に位置しており、どちらも登山道のある山です。

知内山地の最高峰は地形図には名前の記載がありませんが、知内岳と呼ばれています。

この知内岳から岩部岳にかけての山塊は知内山地と呼ばれ、知内町と福島町の境界になっています。

噴火湾越しのニセコ連山も、雪があるおかげで良く目立ちます。

やや南に位置する昆布岳は山頂部だけ白く、まだ雪が少ない事がわかります。

山頂から少し先に進むと、「乙部岳レーダ雨雪量観測所」があります。

北海道内では、樺戸ピンネシリや道北の函岳、道東の霧裏山に、同じ施設が建てられています。

名残り惜しい天気ですが、下山を開始します。

まずは尾根コースの分岐まで戻ります。

尾根コースの方も、笹刈がしっかりされていて快適に歩けました。

周囲に見える山々の展望を楽しみながら、下っていきます。

樹林帯に入ると、アケボノシュスランの実を見つけました。

標高を下げ、ブナの林を進んで行きます。

九郎嶽社本殿の分岐まで来ました。

ちょっと下山ルートから逸れますが、立ち寄ってみる事にします。

まさかのここから藪漕ぎでした。

200m程で九郎嶽社本殿に到着です。

巨岩の下にある本殿はとても雰囲気がありましたが、鳥居がまさかの塩ビ管でした。

昔のガイドブックで見た時には木製の鳥居だったのですが、これでは雰囲気が台無しでしょう・・・。

気を取り直して、下山していきます。

尾根ルートも沢ルートもですが、登山道が笹の刈払い道が多いので、定期的に整備しないと藪漕ぎになっていまいそうな道です。

標高を下げると、まだ紅葉が見頃の場所もありました。

尾根コースの登山口に到着しました。

こちらには塩ビ管では無い、朱塗りの鳥居があります。

九郎嶽社の説明看板です。

尾根コース登山口には広い駐車スペースがあります。

今回は沢コース側に駐車したので、最後は林道を数分歩いて下山完了です。

6日後に訪れた本番も天気に恵まれました。

風も無く、気持ちの良い尾根歩きを楽しむことが出来ました。

まとめ

  • 尾根コースと沢コースで周遊するのがオススメ!
  • 九郎嶽社本宮は藪漕ぎのわりに塩ビ菅の鳥居でガッカリ。
  • 渡島半島の中心部で、稜線からは道南の山々が一望出来る。

笹刈が入った良いタイミングで登る事が出来ました。

最後まで御覧いただき、ありがとうございます。

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