ツアーで「猿留山道(さるるさんどう)」を歩いてきたので、今回ご紹介したいと思います。
今回は人の少ない西入口から入山して、豊似湖を目指す行程で歩きました。
猿留山道とは
猿留山道(さるるさんどう)は、寛政11年(西暦1799年)に江戸幕府によって開削された山道です。
官製道路の最初の一つとして、様似山道(さまにさんどう)と共に開削されました。
作られた当時は7里半(約30㎞)の道でしたが、2003年に「猿留山道復元ボランティア事業」によってそのうちの7㎞が復元されて歩けるようになりました。
猿留山道への入口は、東入口と西入口があり、その中間地点の近くには豊似湖もあって、3カ所からアクセスする事が出来ます。
今回は西入口から豊似湖までを歩いてきました。
アクセス
グーグルマップで道が記載されいているのが、上記のポイントまでで、実際の山道入口はまだ先になります。
猿留山道の西入口はこの辺りです。見やすいように航空写真にしてみました。
森の中に道が見えると思いますが、入口の南側にある十字路のあたりが少し分かりにくかったです。
えりも町役場で林道ゲートのカギを借りる
猿留山道の西入口へアクセスするには、えりも町役場でゲートのカギを借りる必要があります。
町有牧野ゲートは施錠されています(管理:えりも町役場産業振興課 01466-2-4624)
こちらに電話して行く日を伝えると、「肉牛牧場入場許可申請書」をFAXかメールで送ってくれます。
許可申請書を記入して、当日えりも町役場に提出するとカギを借りる事が出来ます。
また土日にカギを借りる場合は、裏手にある警備員室で同じように申請書を提出するとカギを借りられます。
借りた鍵は、追分峠から少し進んだ先にあるゲートで使います。
また奥の方にまた別の道有林のゲートがあるそうですが、今回入山した時は解放されていました。
ゲートが締まっている可能性もあるので、行く際は確認してから向かった方が無難です。
日高振興局森林室 0146-22-2451
各ゲートの詳細は、下記リンクに詳しく記載されています。
GPSログ
今回は西入口から入り豊似湖へ降りる行程です。
片道5.6㎞、3時間40分程(休憩込み)で歩きました。
西入口から豊似湖まで(取材日:2021/5/8)
まずはえりも町役場でカギを借りて、旧肉牛牧場へ向けて車を走らせます。
肉牛牧場を越えて、林道を進んで行きます。
途中でトドマツの倒木が道を塞いでいました。
ノコギリも持っていたのですが、登山口までわずかな距離だったのでここから歩き始めます。
少し歩くと猿留山道の看板が出てきました。
地形図には載っていない沢と、ガロウ川の2ヶ所を渡渉して、沼見峠を経由して豊似湖へ向かいます。
トドマツの森の中を歩いていきます。
人の少ないコースなので、やや道も不明瞭です。
林道と山道が交差するポイントでは、分かりやすいように看板が設置されています。
今回歩いたルートでは「エゾオオサクラソウ」が見ごろを迎えていました。
この日高地方の春を彩る代表的なお花の一つです。
エゾシカは「エゾオオサクラソウ」を食べないので、わりとあちこちで群生が見られます。
地形図には載っていない、小さい沢を越えていきます。
こちらは「ガロウ川」の渡渉ポイント。
そこそこ川幅がありますが、流れは速くありません。
ストックや飛び石を駆使して越えていきます。
クリンソウが群生しているポイントもあるのですが、残念ながらまだ蕾でした。
エゾオオサクラソウより花期が少し後になります。
ガロウ川から登っていくと、林道との交差点に合流します。
尾根の方に木製の梯子(はしご)があり、こちらを進んで行きます。
そこそこ大きいミズナラの大木がありました。
まだ葉を付ける前の広葉樹林の森、日差しが入るので気持ちよく歩けます。
岩と苔の雰囲気が素敵なポイントもありました。
本日の目的地「沼見峠」に到着です。
左の祠(ほこら)は安政6年(1861年)に建立した「妙見菩薩石仏」。
右は「馬頭観世音菩薩」の石碑で、文久元年(1863年)のもの。
共に旅人の安全を祈願することを目的として、幌泉場所請負人の福島屋嘉七によって建てられたそうです。
今回の行程では唯一、江戸時代のものが残っている箇所です。
沼見峠から「豊似湖(とよにこ)」を見下ろす事が出来ますが、木々で隠されあまりスッキリ見えません。
豊似湖を目指して、尾根を進んで行きます。
豊似湖周辺は木々が芽吹き始め、新緑が素敵な感じです。
ヤチダモ林とバイケイソウ群落の林床。
豊似湖の湖畔はのんびり休むにはちょうどいい場所です。
湖畔沿いにはシラネアオイも咲いていました。
湖畔を歩いて、湖の反対側へ。
駐車場はまもなく。
無事に公衆トイレのある「豊似湖駐車場」に到着。
お疲れ様でした。
まとめ
- 人が少ないルートで、やや道がわかりにくい
- 思いのほか、マダニは少なかった
- お花はエゾオオサクラソウばかり、シカの影響か花の種類は少なめ
えりも町役場でカギを借りる必要があるのと、交通の便が悪いので、なかなか歩く人が少ないルートです。
今回もすれ違った人は誰もいませんでした。
もう少し人が入れば道も明瞭になると思うのですが、なかなか難しい問題ですね。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
登山・ハイキング倶楽部では、登山ガイド・森林インストラクターの橋本竜平がご案内する、会員制のガイドツアーを実施しております。
顔が見える範囲の少人数制で、自然を楽しみながら歩くことを目的として立ち上げた倶楽部です。
もしよろしければ、一緒に山歩きを楽しんでみませんか?